ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死』野崎まど,メディアワークス文庫,2010

 野崎まど氏の第3作目の作品。なんと言ったらよいか難しいが、『アムリタ』同様に、思考論理のみで展開する哲学的なミステリでした。突飛な哲学書や科学書はしばしばSF的な結論に行き着いてしまうときがあるけれど、それを小説にしたらこうなるという感じだろう。ちょっとこのような味わいがあるものは少ないので、非常に嬉しい。翻訳すれば海外でも受けるのではないだろうか。また、とにかく最後まで読み終えると、まったくムダがないのが素晴らしい。すべてが伏線になっているのである。