ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』カラー、東宝、庵野秀明、グラウンドワークス、2016ーー今後エヴァがどう変化するかが愉しみになった

 映画『シン・ゴジラ』のメイキング本。「庵野総監督による企画メモやプロット、脚本(準備稿、決定稿、最終決定稿)、各クリエイターのデザイン画やイメージボード等を網羅して収録、庵野秀明、主要スタッフインタビュー」が収録されています。高価格ですが、内容、ボリューム、造本などコストを考えれば妥当あるいは低価格だと思います。

 とくに興味深いのが庵野氏のインタビューでシナリオが決定稿に至るまでのプロセスを詳しく述べています。八稿まであるのですが、それぞれの段階でどのように変化していくかがわかります。たとえば中途でここらでプロの脚本家に任せたほうがよいと判断して東宝が依頼したのですが、戻ってきたものをみて自分が監督をする必要はないと監督を降りると判断したりしています。そこで元の企画内容に戻すべく脚本を修正しています。

 また、主な登場人物が政治家や官僚でしたが、元の脚本では全く政治家や官僚らしくない行動・セリフだったらしく、庵野氏は政治家・官僚たちの行動原理がわかっていなかったというようなことを述べており、かなり決定稿まで近いところまでいっていながら、インタビューや脚本チェックをしてもらって、違和感のないところまで仕上げたようです。今後、新しいエヴァの内容も変化するのではと思いましたね。

 とにかく、モノを作り上げるということは、とくに「集団」で作り上げるためにはどのようなプロセスをたどるのかがよくわかります。

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ ([バラエティ])

ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ ([バラエティ])