実を言うと随分前に読んだのですが、どうも当時心が死んでいたらしく記録をすることができなかったものの一つです。ですので印象のみ記します。
葉村晶シリーズ第6作目の作品。ベテランとも言える作家がこのようなムダの少ない濃密でいくつかのストーリーが絡まるお話を紡ぐのが不思議な感じがします。
また、このシリーズは主人公のキャラクターとハードボイルド風の文体が統一しているのですが、ストーリーそのものは、謎解き、ハードボイルド、スリラーとバラエティなのが魅力の一つといえるでしょう。そのような中で本作は、キンジー物に近い感じがします。
そのためか、それとも私の調子が悪かったためか、これまでのシリーズ物と異なり、なかなかストーリーが頭に入ってきません。一つ一つのエピソードが一旦でも終わらないまま次のエピソードが始まるためのような気がします。一体これなんの話だっけと思って前のエピソードに戻ることが複数回ありました。
というわけで、☆☆☆★というところです。とはいえ、複雑なストーリーをお好みの方にとっては、非常に満足できる作品でしょう。
中途で会話が吉田秋生の漫画のようなテンポで話されており、頭の中で吉田秋生の漫画で改変されたこともしばしばありました。
- 作者: 若竹七海
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2018/08/03
- メディア: 文庫
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