ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『青銅ランプの呪』カーター・ディクスン、後藤安彦訳、創元推理文庫、1945、1983ーー人間消失トリックの謎に挑む

 ヘンリ・メリヴェール卿もの第16長編ですから、わりあい後期ともいえます。表4に「人間消失の謎に挑んだ名作」と紹介されています。

 エジプトから青銅ランプを持ち帰ったヘレン・ローリング嬢は、自宅の屋敷に入ったあとで、その屋敷からランプだけを残して消えてしまった。王家の墓から発掘された青銅ランプの呪いなのか? ヘレンを探しているうちに、ヘレンの父親のセヴァーン卿も屋敷で消えてしまった。ロンドン警視庁の警部は殺人ではないかと捜査を始める。ヘンリ・メリヴェール卿も依頼を受けて調査を始めるのだが…。

 この人間消失のトリックですが、どうもシチュエーションから、抜け穴があるのではないか、もしなかったら誰かに変装しているのではないか、いや変装しているのだったらすぐにバレてしまうしなあ、と考えつつ読んだのですが、アレだったのには驚きました。最後に真相を披露するメリヴェール卿ですが、確かに伏線はきちんと張っているけどなあ、という感じがします。でも、犯人の動機はよかったかな、というわけで、☆☆☆★というところです。