ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2014-01-01から1年間の記事一覧

『瓜子姫の夜・シンデレラの朝』諸星大二郎,Nemuki+コミックス,2013/『夢見村にて――妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1)』諸星大二郎,ヤングジャンプコミックス,2014

久々に『瓜子姫の夜・シンデレラの朝』『夢見村にて――妖怪ハンター 稗田の生徒たち (1)』と諸星大二郎2冊。「瓜子姫」の投げっぱなしラストには驚きました。続ければ面白そうな感じがしただけに残念。「夢見村」は妖怪ハンターシリーズのスピンオフ。まあ普…

『血の探求』エレン・ウルマン, 辻早苗訳,東京創元社,2012,2014

最近の新刊の中では評判がよかった作品。 あるダウンタウンのオフィスを借りた求職中の大学教授。ある日そのオフィスにいると隣の部屋から精神分析医が精神分析療法を行っている声が聞こえてくる。一人の女性が精神分析療法を受けているらしい。盗み聞きをし…

『日本人はこれから何を買うのか?――「超おひとりさま社会」の消費と行動』三浦展,光文社新書,2013

2030年以降、全国的な中高年の1人暮らしの増加、大都市での高齢者の1人暮らしの増加、50歳以上の未婚・死別・離別の増加など「超おひとりさま社会」が出現するに当たって、その前兆を見せている現在、消費がどのように変化するのかを、マーケティングの視…

『新しい市場のつくりかた―明日のための「余談の多い」経営学』三宅秀道,東洋経済新報社,2012

何かの書評で興味をもって読んだもの。私の多くない経営学の知識でいうと、本書はドラッカーのいうイノベーションをどうしたら起こせるのか、その実践から理論を導くものなのかと思いました。経営学の書籍はほとんど読んだことがないけど、これは斬新なので…

『脳からみた心』 山鳥重、角川ソフィア文庫、1985、2013

1985年にNHKブックスから出版された書籍の文庫化。25年以上経っているのですが、中身はまったく古びておらず、内容の分かりやすさに感動しました(というかNHKブックスはそんな昔からあるのか)。 山鳥先生は神経心理学の大家で、本書は言葉・知覚・記憶の障…

『謎解き・人間行動の不思議―感覚・知覚からコミュニケーションまで』北原義典,ブルーバックス,2009

人間行動科学の入門書。一つの絵が二通りに見えるのは何故か、音声を録音したテープを逆に再生しても、例えば「だまされる」を「るれさまだ」と聞こえないのは何故か、二つのものが同じ重さでも同じ重さに感じないのは何故か、など実験や現象を提示して、そ…

『別館3号室の男』コリン・デクスター, 大庭忠男訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,1986,1987

コリン・デクスターの7作目の作品。なんと舞台は年末大晦日にホテル行われた仮装大会です。その優勝者が仮装したままホテルの一室で殺されたところを発見されたということで、これは日本のコミケなどでも流用できる舞台ですね。もう既にあるのかもしれません…

『書楼弔堂 破暁』京極夏彦,集英社,2013

京極氏の「弔堂」という古書店を舞台にした連作短編集。「臨終」「発心」「方便」「贖罪」「闕如」「未完」の6編。 舞台は明治時代。二葉亭四迷が『浮雲』を出版した頃。京極氏の作品は全部は読んでいないものの、初期作から中期までは読んでいる者としてで…

『ポーカー・レッスン』ジェフリー・ディーヴァー, 池田真紀子訳,文春文庫,2013

ディーヴァーの『クリスマス・プレゼント』に続く第2短編集。「章と節」「通勤列車」「ウェストファーレンの指輪」「監視」「生まれついての悪人」「動機」「恐怖」「一事不再理」「トンネル・ガール」「ロカールの原理」「冷めてこそ美味」「コピーキャット…

『続・風の帰る場所―映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか』宮崎駿,ロッキングオン,2013

雑誌『CUT』に掲載された渋谷陽一氏による宮崎駿氏へのインタビュー集。『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』が公開されるたびに行われたもので、毎回膨大な時間をかけたインタビューが残されています。 このよう…

『メグレと老婦人』ジョルジュ・シムノン, 日影丈吉訳,ハヤカワ・ミステリ文庫,1951,1976

メグレ警部を主役としたミステリシリーズの中期にあたる作品。本作のような作品を読むと、メグレ警部シリーズは謎解きミステリの魅力にあふれているとは思えないのです。例えば、ペリイ・メイスン・シリーズが、謎解きが第一義に評価されているわけではなか…

『1日で学び直す哲学――常識を打ち破る思考力をつける?』甲田純生,光文社新書,2013

購入きっかけは書店で見かけて、アマゾンの評価が良好であるのを確認してからです。 著者は広島国際大学所属で、晃洋書房やミネルヴァ書房など専門書出版社で複数の著作をもつ哲学者。編集者はそれらの著作を読んで、新書も書けるのではないかと判断したんで…