2016-01-01から1年間の記事一覧
昨年、各種ベストテンで好評を得た女性の私立探偵を主人公にした小説です。なかなか私立探偵小説は評価を得ることが難しいのですが。読んでみて、なるほど、と思いました。 読者と生活レベルが等身大的であり、欠点もあるけれど基本的に明るい、好感を抱く主…
綾辻氏の「館シリーズ」の第5作目の作品。第1作目から工夫を凝らしていましたが、本書でもさらに新味と工夫を加えています。 鎌倉にある統計屋敷――日本有数の時計メイカーの前会長・古峨倫典が建築家・中村青司に設計を依頼した館で、通称「時計館」と呼ばれ…
ブックオフの功績の一つとして、それまで古本で扱ってこなかった分野の書籍を古本として流通させたことといわれています。ビジネス書の分野がそれにあたります。いまはアマゾンが大きく占めていますが。私もビジネス書は興味なかったのですが、今頃になって…
本書はタイトル買いです。筆者のひとりが『ヤバい経済学』の著者。ビジネス書という予想に反して、本書はエッセイ集といった趣でした。先入観をもたずに考えることが必要だということですが、そのノウハウが欲しかった。事例として小林尊氏が挙げられていま…
NHKの番組で評判になったハーバード大学の講義の教授であるサンデル氏のベストセラーになった哲学書。番組を文字起こしした書籍だと思っていたので、リアルタイムでは手に取らなかったのですが、やたらブックオフに置かれたいるので(表紙が目立つ)、手に取…
立川談春氏の自らの入門から真打ちまでの修業時代についてのエッセイ集。とにかく語り口がうまく、するする読むことができる。すぐれた作品がそうであるように、エッセイ、青春小説、業界小説、師匠と弟子の小説など、さまざまな視点で読むことができる。タ…
■ 『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015 ようやく最終巻。雑誌連載でも読んでいましたが、アレはやっぱりミスリーディングじゃあないでしょうか。 ピアノの森(26)<完> (モーニング KC) 作者: 一色まこと 出版社/メーカー: 講談社 発売日: …
さまざまなミステリを書いた結城昌治氏の初期~中期の作品。解説によると1965年発行で50年経っています。 主人公は独身の31歳の沢井という刑事です。沢井は普段は真面目な刑事で、かつ、仕事のこと、女のこと、金のことなど、さまざまな闇を抱えています。あ…
野崎まど氏の(おそらく)5作目の作品。野崎氏の架空の設定の中でアクロバットな論理展開の後にリドルミステリに落ちつくという特徴があります。さらに、とぼけた感のある非常に特徴的なキャラクターとギャグが備えてあり、決して重くはならない作風です。ち…
書籍の企画のネタになるかもしれないと思って手に取った本。「誰も損をしなければ何をしてもよいか?」「不平等が許される場合とは?」など哲学・倫理学の100のテーマについて、具体的な小話と解説が記されています。さらっと読んだだけですので、役に立つか…
先頃亡くなられた小鷹氏と作家の逢坂氏のハードボイルド小説と映画についての対談本です。映画のところはすっ飛ばして、小説のところだけ読みました。このお二人ですからハメットの話ばかりでした。 翻訳作法のところが面白かったですね。エルモア・レナード…
インドリダソンの翻訳3作目の作品。これまでの中でもっとも素晴らしい作品でした。これが、2002年の作品か、なぜもっと早く翻訳されなかったのだという思いでいっぱいです。雰囲気は、メグレ警部シリーズに近く、それをもっとわかりやすく説明を加えたものと…
最近、アニメがどのように作られているか、ビジネスとして展開されているか、強く興味をもつようになりました。どうしてこのようなアニメの企画が通ったのか、何を収益の柱にしているのか、不思議なものが多くあるんですね。 本書はそのようなコンテンツビジ…
一昨年、翻訳ミステリでなかなかの評価を受けた、87歳の元敏腕刑事の老人が主人公のハードボイルド・ミステリ。というよりも、ナチもののコミック・ミステリでした。 元殺人課刑事のバック・シャッツは親友から臨終のときに、二人だけで昔の千艘の話としたい…
海外ミステリの短編集。まさに企画の勝利というか、今まで早川書房はこれだけの資産をどうして遊ばせていたのか、と思います。 収録された作家は、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、ルース・レンデル、ジャック・フ…