ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『第四の扉―ツイスト博士シリーズ』ポール・アルテ,平岡敦訳,ハヤカワポケットミステリ,1987/2002-05(○+)

第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

最初,通勤電車の帰りに読み始めたところ,1ページぐらいで「あれ,これ,ひょっとして読んだことないか?」と調べてみると,2年ぐらい前に読んでました。それでも「まあいいか,何となく面白いし。トリックもまったく思いだせないし」と読書継続。

憶えていないはずです。トリックも犯人の動機もバカバカしいものでした。

そういうわけで,普通の人にはお勧めではないけれど面白いです。こういう作品を評価したいですね。でもコニャックミステリ大賞(って,フランスの江戸川乱歩賞みたいな新人賞?)を受賞しているんですね。

ちなみに以下は,冒頭,主人公ジェイムズの部屋に,その妹エリザベスがノックして訪ねて,恋の相談するところ。

「さあ,拝聴しますって。この兄におまかせあれ」ぼくと妹は一歳違いだった。「悩みを解決してあげるから」
 妹は大きくため息をつくと,こう打ち明けた。
「ヘンリーを愛しているの」
「気づいてたさ。でも……」
「ヘンリーもわたしを愛してるわ……」
「それも気づいていた」
「けど彼ったら,ものすごく恥ずかしがりやで,はっきり口に出してくれないの」
「しばらく様子をみてみろよ。いずれ……」
「でも,こちらからアプローチするなんてできないわ。わたし,そんな女じゃなくってよ。いったいどんな顔して言えばいいの! きっと,そこいらの軽薄な娘みたいに思われちゃうわ……だめよ,だめ。問題外だわ!」(11-12頁より)

この後,爆笑コントが続きます。さすが,アニメの『めぞん一刻』が好評を得た国の作品とうなっちゃいますよ。でも,これもトリックといえばトリックといえるのかな。ミステリ・オタ臭満載です。って,あるでしょ,日本にも,そういう愛すべきミステリ。