ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『メグレと無愛想(マルグラシウ)な刑事』ジョルジュ・シムノン,新庄嘉章訳,ハヤカワ・ミステリ 370,1957,1984

 メグレ警部シリーズの「メグレと不愛想な刑事」「児童聖歌隊員の証言」「世界一ねばった客」「誰も哀れな男を殺しはしない」の4つの短編が収録されている短編集。短くて読みやすい。派手なトリックはないものの、ちょっとした意外性はあります。しかし、事件は解決するものの、必ず一部分不明なところが残ります。メグレは、「それはわからない」というのですが、それに対して、どう感じて捉えるかが好みのポイントなのでしょう。

 もしかしたら、今の人にとってはメグレ警部が4大名探偵の一人とされていた時代があったことを知らない人も多いのではないのでしょうか。エラリイ・クイーン、エルキュール・ポアロ、メグレ警部、ヘンリー・メリヴェル卿でしたかねえ。

 そのなかでメグレ警部は、ほかの名探偵ほど残っているとはいえません。これは代表作といえるものがないため、または私的な探偵ではなく公的な警察官であったためだと思います。

メグレと無愛想(マルグラシウ)な刑事 (ハヤカワ・ミステリ 370)

メグレと無愛想(マルグラシウ)な刑事 (ハヤカワ・ミステリ 370)