- 作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/03/08
- メディア: 単行本
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私立探偵フィリップ・マーロウは,飲んだくれの男テリー・レノックスと知り合いになった。テリー・レノックスは億万長者の娘であるシルヴィアと一度離婚し,どういう理由かは分からないが,その後再婚をしていた。ある朝の5時,いきなりテリーがマーロウの事務所を訪ねてきた。手には拳銃が握られていた。面倒なことに巻き込まれたのでメキシコまで車で逃がしてほしいというのだ。マーロウはテリーのメキシコ行きに協力するのだが…。
ハードボイルド小説の巨匠レイモンド・チャンドラーの最高傑作といわれるミステリ小節をおよそ半世紀ぶりに村上春樹氏が新訳したもの。
読み終わったのは数日前。ちょっと時間かかかりました。私は,清水俊二版の『長いお別れ』を17〜18歳頃に読んで以来,4〜5回ぐらい再読しています(『さらば愛しき女よ』もですが)。社会人になってからは読んでいませんので,今回は十数年ぶりですね。感想を率直にいえば,旧訳が好きな人でも読んだ方がよいでしょう。覚えていないせいなのか分かりませんが,清水訳ではなかったと思われる,説明部分が大幅に「加筆」されたような感じがしています。そのため,ストーリーが非常に理解しやすくなっています。結構,チャンドラーって説明する作家だったのだなと印象が変わりましたね。
改めて読みますと,ハードボイルドのお約束に乗っ取った小説でした。あえて挙げるのでしたら,信じていたものに裏切られた,探していたものが違うものだった,その誰にも感じる「寂しさ」を大いにうたいあげています。それが心の中に強く染み渡りますね。
ところで,第2の殺人事件のシーンは『黄色い部屋の秘密』に似ているんじゃないかと思いました。そんな奴いないか。
でも,装幀はやはりアレじゃないかなあ。