本書は、小説などにかかわる文芸作品について、盗作事件となったものを集めたもの。このような側面から書くのは、非常に難しいけれど、筆者がとてもニュートラルな視点にたっていて、人間の嫌なエゴ的な部分がむき出しにならず、報じられたことのみを掲載している。もちろん、その資料の選別そのものが、ニュートラルではないかもしれないけど、本作からはそれを感じません。
本書を読むと、盗作とは、法的に反する盗作と、モラルに反する盗作があることがわかる。その境界はどこにあるかが問題なのだろう。
わたしの立場としては、文芸にせよ、映像作品にせよ、参考としたものは、すべて参考文献として示してあれば、ある程度は許容してもいいのではないか。
文献掲載を嫌がる人々がいるけれど、別に作品そのものを貶めるものではないと思う。だから、とくにテレビなどは、書籍をネタとしたならば、エンドクレジットで10冊でも、20冊でも並べるべきじゃないのかなあ? もちろん、引用は引用文献としてわかるように表示する。
そんなふうにして、なるべく表現をゆるゆるにしたほうが、楽しいんじゃないのかなあ。デリケートな問題です。
- 作者: 栗原裕一郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 単行本
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