2週間前から交通局に対し、法定速度内でもオービスが反応してしまうというスピードカメラの誤作動の訴えがあった。一方、帝都物産の屋上から、社員の早乙女が飛び降り自殺した。帝都物産は、産業スパイ対策の防犯カメラが多く設置されており、その記録から早乙女の自殺直前に会っていたのが、首都警備保障の岩井だったことがわかった。捜査一課は首都警備保障との関係を捜査しようとしたところ、警視庁からの天下りで常勤顧問の宇田川に阻止された。防犯カメラを見て不審に感じた右京は、米沢に依頼して、自殺周辺区域を調べたところ早乙女自筆の遺書が発見されたのである。
また、警察庁上層部から特命係の今後の役割の可能性を見つけるよう命令を受けて特命係に飛ばされた、つまり庁内エス(警察庁が警視庁に送ったスパイ)だった神戸は、スピードカメラの誤作動について、警察庁の防犯カメラ管理システムの現在の管理者の警察庁警備局・伊達警視に接触する。
その後、岩井が自宅で毒物自殺を図ったところを神戸は伊達に呼び出された。伊達は岩井と新しい防犯カメラ管理システムの打合せだったらしい。
そのため右京は、神戸に伊達と会っていた理由を問いつめる。神戸は、前の警察庁警備局で担当した、日本中の防犯カメラにリンクさせた顔認証システムFRSを開発していたこと、そして自分が特命係に飛ばされた理由を右京に語り始める。右京は、そのFRSに絡んで岩井は殺されたのではないかと判断し、岩井の持つデータを押収するのだが……。
神戸がなぜ特命係に役職が落ちてまで飛ばされたのか、についての謎解き+犯人役の掘り下げはまったくないけれど大沢在昌ばりのちょっとしたSFスリラー(ミステリではない)+産業スパイ・庁内スパイとてんこ盛りで2時間スペシャルに相応しい作品で☆☆☆☆です。