クックの25作目の作品。ストーリーの全編にわたって、主人公の歴史学者のルークとローラ・フェイという子ども時代の知り合いの女性との会話で展開されます。
ルークの父は、幼少の頃、自宅で銃で撃たれて殺された。その原因は、その頃、ルークの父と付き合っていたローラ・フェイだったと考えていた。それらのことを巡って、二〇年の時を経て再開した二人は思い出話を始める。
ルークの過去の話、ローラの過去の話で進んだ後、すっと過去に戻り、それについて語られる。そのルークの思い出(本書は、ルークの「わたし」の一人称で語られる)を反転させるローラの視点から事実が語られる。そのたびに読者はゆらゆら翻弄されます。
二人の会話で話が運ばれるためか、シーンがあちらこちらに移ることがないので、非常に読みやすく、久しぶりに一気読みしてしまいました。微妙にセカイが変化する感覚と、ほろ苦い結末を味わうことができます。☆☆☆☆というところです。もっとクリスティ的な味付けがあれば、大傑作になったのに。
ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ 1852)
- 作者: トマス・H・クック,Thomas H. Cook,村松潔
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/10/07
- メディア: 新書
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