朝日新聞の書評で絶賛されていたので興味をもって購入。いとう氏の作品は初めてです。私にとって、いとう氏で思い出すイメージは、永倉万治の文庫の解説なんです。『ホットドッグプレス』の編集時代のお話でした。
本書なのですが、38歳の男がパーソナリティのラジオ番組を始めるところから始まります。それは想像ラジオというタイトルで男はDJアークと名乗る。彼はある日突然にラジオで身の上話を始める。そのなかで彼は、音楽関係の仕事を辞めて東京から海沿いの小さな町の故郷に戻ってきたところで、高い杉の木の上に引っかかってラジオを始める羽目になったと、軽快に語ります。
このラジオの語り口が、実に軽快でリズムに乗っていて、頭の中に静かに鳴り続けます。いや鳴るという表現は正しくないな……。まあ、この重い内容が重くならず頭の中を響くわけです。
私は何の予備知識もなく(書評の内容はすっかり忘れてしまってましたので)、中途までよく内容が分からず、伊坂氏の『ラッシュライフ』のように、現実に存在していない者が妄想で語ってるストーリーなのかなと思っていました。それはそれで間違いではないのでしょうけど、まああまりよい読み方ではありませんね。
- 作者: いとうせいこう
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2013/03/02
- メディア: ハードカバー
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