宮部みゆき氏の文庫にして6冊の長編ミステリ。12月25日の雪あかりの朝、一人の男子中学生の死体が学校で発見された。警察により自殺として処理されたのだが、彼の死は同級生の3名の不良によって学校の屋上から突き落とされて殺されたという告発状が学校、担任の先生、同級生宛に送られてきた。そこから次第に少年の死に不審な噂が広がっていく。そこをマスコミにタレコミがあって中学校自体が混乱に陥っていく。その中ではっきりしないことに傷ついてたクラス長の藤野涼子は学校内裁判をして解決しようと提案し、被告人、判事、検事、弁護人、陪審員を決めて、夏休みに5日間をかけての裁判を行った……。
あまり内容について知らずにいたので、最初の自殺と思われた事件が殺人事件になるものであると仮定して読んでいました。
第2部では事件にまつわる捜査を行うのですが、もっとも似ていると思ったのが、『アクロイド殺し』です。『アクロイド』のいちばんのキモでありトリックは、実際の行動を説明しなかったことですが、 本作品において同様のトリックが用いられているのではないかと思い、解説していない空白の場面・時間はいったい何であるのかを注視して読み進めました。本作では、その「空白」はキャラクターの不可解な行動、事実の矛盾点を見つけ出すことで、読者はある程度推理ができる仕掛けになっています。そのようにして読者を引っ張る作品です。
というわけで、読者をひっぱるということにおいて、難しいことに挑戦しているミステリで、☆☆☆☆というところです。長くなってしまっているのは仕方ないでしょう。
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