ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『三人の名探偵のための事件』レオ・ブルース、小林普訳、扶桑社ミステリー、1936、2017ーー密室、3人の名探偵による多重解決、どんでん返しなど探偵小説のお約束の要素がてんこ盛り

 イギリスの1930年代にデビューしたミステリ作家レオ・ブルースのデビュー作。作風はイギリスミステリ黄金時代そのもので、シリアスではないユーモアミステリです。私は初読で、今までに読んだ中では、殺人をゲームとして扱っているという点で、バークリー、イネスに近い、というかそのものの感じがします。

 本書はデビュー作であるためか、力のこもった解説でもあるとおり、密室、3人の名探偵による多重解決、どんでん返しなど探偵小説のお約束の要素がてんこ盛りで、パロディの一種となっており、それが皮肉となることに成功しています。というわけで、☆☆☆☆というところです。 

三人の名探偵のための事件 (海外文庫)

三人の名探偵のための事件 (海外文庫)