〈異人殺しのフォークロア〉をキー・コンセプトにした論文集である古典。「異人」とは「民俗社会の外部に住み、さまざまな機会を通じて定住民と接触する人びと」(13ページより)のことをいいます。その異人殺しをメインとした民話を元に、どのような民俗だったのか、その心性を論じていて非常に面白いです。
小松先生の論文が面白いのは、庶民であれ高貴であれ、心の闇を肯定的に照射しているところにあります。現在の観点から見ると、不気味としかいいようがない説話があるのですが、それはそういうものであるという視点が安心するのです。
- 作者: 小松和彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/06
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 33回
- この商品を含むブログ (21件) を見る