今年出版された新刊です。しかし原著は2003年なのか、ずいぶん前のようです。ドイツのベストセラー作家で、解説によると日本では宮部みゆきにあたることらしい。
舞台はイギリスで、幼馴染の結婚式に海外へ渡るために、エレインはヒースロー空港に行ったが天候のために飛行機が飛ばず、たまたま知り合った弁護士の男に自分の家に宿泊しないかと誘われた。その後、エレインは失踪してしまった。事件にもなったが結局見つからないままだった。
その5年後、その幼馴染のロザンナは、昔の知り合いから、その失踪事件の取材をしないかと依頼された。ロザンナは結婚前はジャーナリストで結婚後、主婦をしていたのだが、夫がロザンナを束縛しすぎて、関係があまりよくなかった。ロザンナはその依頼を引き受けて、イギリスにわたって、その弁護士にあったのだが、とてもエレインの失踪にかかわってる様子はなかった。その弁護士はエレインには恋人がいたと言ったが誰も信用してくれなかったと言った。エレインの失踪には隠れた動機があったのか?
まずはシンプルで読みやすい。一つ一つのシーンが明確で、場面転換もきちんと一行を空けてくれる。描写も念入りで、少しぐらい読み飛ばしてもストーリーが分からなくなることがありません。謎がきちんと提示されているのですが、サスペンスの要素が強く、ミステリというよりも、ロマンス小説に近いです。キャラクターは類型的ですが、エンディングまでエンターテインメントの定石に則っていて、飽きさせることがありません。
とはいうものの、主人公が30代の女性であることから、読者もそれを対象にしているようで、勉強になり面白かったのですが、この作家の作品はもう読むことがないよな、と思ったところで☆☆☆★です。