ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『変調二人羽織―連城三紀彦傑作推理コレクション』

連城三紀彦氏のデビュー作を含む初期ミステリ短編集。「変調二人羽織」は,10年以上前に,講談社文庫版で読んだことがあるので再読ですね。前回も,今回も,なんかアンバランスだけど,頭がクラクラするよいミステリでした。連城氏の文体は,つかみ所がない,ゆらゆらしたところがあります。それが,連城氏の特質なのか,あるいは謎を演出するために選択したものなのでしょうか? その理由は,視点が動いているためなのでしょうか? アンバランスのように感じたのはそのため? ぼくにとっては,読んでも内容を十全に理解できないけれども,よく分からない魅力のために,次々と手を出してしまう作家です。
いちばん近いテイストをもつ作家は,折原一氏,あるいは目くらまし加減がフィリップ・K・ディックのような気がします。