- 作者: 山鳥重
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/11/20
- メディア: 新書
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本書では,まず言葉とその意味を,次に言語機能の障害の種類を述べ,それにより脳は言葉をどのように紡ぎ出しているかを解説しています。最終章で,心の成り立ちを「意識・情・知・意」という構造として分析し,脳と言葉がいかに関係しているかを類推した上で,最後に心とは何かを述べます。
脳の一つ一つの機能は,それぞれの界面性が対応する機能と結合することで,一つ上の水準の性質を発現し,その水準の機能がお互いに結びつくことでさらにもう一つ上の水準の機能を発現する,というかたちで機能の階層を上昇していくのであろう。心も,あるひとつの生理機能水準から,いきなり創発するのではなく,低い段階の働きから,高い段階への働きへと,創発を重ねて生成される。
このくだりを読んで,初めて,茂木健一郎氏がソニーコンピュータサイエンス研究所に所属しているのかが理解できたように思います。また,『ワン・ゼロ』というコミックを思い出しました。
1998年発行ですので,もっと脳機能の解明は進んでいるかと思われますし,少し根拠が薄弱ではないのかなとも感じますが,心・意識・脳を理解するのには良い本でした。