ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『下流喰い―消費者金融の実態』(○)

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

下流喰い―消費者金融の実態 (ちくま新書)

消費者金融についてのノンフィクション。

私が学生時代のことで,10年以上前の話ですけど,ある出版社でアルバイトをしていたんですね。その出版社は,まあ,あまり上品でないジャンルをメインとする出版社だったわけです。例えばパズル雑誌とかですね。私はパズル雑誌を担当していませんでしたけど。

ちなみに今は分からないですけど,当時はとても利益率がよいジャンルと聞いたことがあります。だから出版社は同じようなパズル雑誌をいくつも出版していました。懸賞ハガキも段ボール箱でいくつも山積みになっていたのを見て「暇な人が多いんだなあ」なんて,学生の分際で思ってました。

まあ,それで,その出版社のアルバイトは楽しかったわけです。お使いさんでしたけど。そのお使いさんにページを任せてもらっていましたし。クセのある人が多く,私ごときは目立ちませんでしたから。何言ってもよいという雰囲気が蔓延していました。

そのなかで,私は酒を呑むのは好きじゃありませんでしたが,その会社では一緒に呑んだりする機会があったわけです。私は貧乏アルバイトでしたから,後ろから付いていく感じでした。そのなかで,ある社員さんが「今日金がなかったからキャッシングしてきた」と普通に喋るんですね。それに呼応して他の社員さんも「俺もだよ」と答えるわけです。

私は内心「何で? あんたら社員でしょ。それなら金持ってるんじゃないの。酒も給料日までやめりゃいいのに」と驚きました。口には出しませんでしたけどね。ATMができた頃の話でしょうか。こんなに気軽にキャッシングできるんだなあ,と不思議に感じたものです。

ちなみに今の会社にはそういう人はいませんね。固い会社だからですかね,分かりませんが。キャッシングしている人がいるのかも知れませんが。でも,仕事はアルバイト出版社の時の方が楽しかったですけどね。なんせ人の役に立たない雑誌の担当でしたから。気楽でした。でも,30歳過ぎたら出来る仕事ではないと思って辞めました。

あのとき,キャッシングしたいた人々とは,今お付き合いはまったくありませんが,今でも月々キャッシングしているのでしょうか。そして,この本に書かれているとおり,
「あなたは優良なお客さんだから」
「キレイに使っていただいておりますので」
「ぜひ増枠させていただきたい」
とポンと百万円を目の前に出され,結局増枠されそうになったのでしょうか。もしくは,増枠されたのでしょうか。