海外翻訳ミステリは,リアルタイムに翻訳されるものと,タイムラグがあって何年か経ってから紹介されるものがあります。まあハリーポッターのようなベストセラーはすぐさま翻訳されるわけですが。『長いお別れ』でも本国で出版されて,日本ではその4年後に翻訳出版されました。それでも当時にしては早いですよね。
年末にところどころで行われるベストミステリ10などの企画で,日本で翻訳された年が同じなだけで,アメリカやイギリスなどの本国では,その前年に発行されたものから,クラッシックともいえるものまで一緒くたにミステリという評価軸で一律に評価するわけです。同じ作品でも,リアルタイムに翻訳されたら評価されたかもしれないなんてものがありますからね。それは,フェアではないよな,と訝しく思いつつも,出版社サイドとしても読者サイドとしても,どのような形であれ評価がなくてはしょうがないよなとも諦めの思いもしてしまいます。
でも,最近,日本のマンガやアニメが翻訳され,出版され,放送されて,海外でどのように受け止めているかを報告するブログや記事を読みますと,日本の海外ミステリで起きたことが,そのまま同じように問題になっているのです。日本で何年も前に製作された『鋼の錬金術師』が今頃評価されていたり,マンガの古典ともべき手塚治虫の『きりひと賛歌』が絶賛されていたりしてね。それをウオッチングすることは,編と思うよりも非常に楽しい。また,一緒くたに評価していることはほほえましく感じますね。