地方を殺すな!―ファスト風土化から“まち”を守れ! (洋泉社MOOK)
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/10
- メディア: ムック
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三浦展氏が命名したところの「ファスト風土」の問題点とその対応策について編集されたムック本。三浦展氏,大林宣彦氏へのインタビュー,地方や郊外に出現した大型店(大型ショッピングセンター)が街に対してどのような影響を与えたか,地方に起こる奇妙な犯罪は何故起こったか,元気な「まち」を紹介し地方を再生するにはどうしたらよいか,を紹介しています。
先日,仕事で北関東のある都市に行ったのですが,その近くに大型ショッピングセンターがあって,あまりの広さにちょっとクラクラきてしまいました。専門書まできちんと揃えている書店があって良かったですね。
また,鹿児島市からバスで10分ぐらい離れたところにある大型ショッピングセンターも,書店があって品揃えがほとんど東京と変わりませんでした。両方とも,シネマスクウェアがあって映画は見ることができるし,ユニクロが入っているし,ここに住んでもよいなあなんて思ったものです。
地方を車で回って,大きな古本屋に行くと,ブックオフに常備している古本やDVDなどのみならず,トレーディングカードやフィギア,おもちゃ,古着など,あらゆる古物が揃っていることに驚きました。マンガなど,かなり古い作品から最新の作品まで,きちんと揃っている。ここで毎日立ち読みしていれば,ほとんどのマンガが読めるんじゃないですかね。立派なオタクになれます。
まあ,それで,こういうところで育つ・暮らすということはどういうことなのかな,と思ってしまったわけです。
さて,本書ではファスト風土化を否定的にとらえて編集・執筆されています。ファスト風土化したところは,商店街が消滅するし,人々のコミュニケーションが消滅するし,決して経済的に潤うわけではないし,犯罪を増加させるし,というわけです。それをデータから,ルポルタージュから解説していっています。
しかし,私としては,それでも良いではないかと肯定的に捉えてみたいんですよね。これから日本は少子高齢化が進み,人口が少なくなり,収入が少なくなり,経済的規模も縮小します。ということは,今までのように,町が拡大することはあり得ません。より効率の良いコンパクト化が進むと考えられます。その過程では,残念ながら,町そのものが失われてしまうことが必要となるわけです。それを大型ショッピングセンターを招聘して,町づくりを失敗してしまったところが担う。しょうがないのかなと思います。ただ,その当事者たちにとっては,たまったもんじゃないでしょうけど。