ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール、北野寿美枝訳、早川書房、2000→2005(○)

 ランスデールを読んだこともないし、『ボトムズ』というタイトルから、何となくサイコ・スリラーかなと敬遠していたのですが、たまたま書店で手にとってカバーのあらすじを読むと、キングの 『スタンド・バイ・ミー』やマキャモンの『少年時代』のような感じ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作でもあるということで読んでみました。で、そんな、少年時代のみずみずしい雰囲気が好きな人にはたまらない作品でしょう。

ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ボトムズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 1933年アメリカのテキサス州東部、大恐慌の影響が続いていた時代。11歳のハリーが主人公。彼のパパのジェイコブは理髪店を経営し町の治安官も兼ねていた。ある日、犬のトビーが背骨を折ったため、銃で安楽死させるようにジェイコブに命令されたハリーは、トビーを手押し車に載せて、安楽死できる場所を見つけるため、川沿いに歩いていくと、イバラに引っかかっている女の死体を見つけた。その死体は、裸で黒人だった。ジェイコブは捜査を担当し、しだいに似たような事件があることがわかるのだが、犯人は見つからない。小さな町では、白人と黒人の対立もあり、次第に波紋も投げかける…。

 確かに良くできた物語で誰が読んでも感動的だと思うのです。私も感動しましたし。しかし、何か過剰さがないためなのか、もの足りないのです。コナリーのときと同じような感じですね。だいたいタイトルが良くないですね。『ボトムズ』では、サイコ・スリラーかSFだと思いますよねえ。