hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

日本ミステリ

『人形館の殺人』綾辻行人,講談社文庫,1989,1993

綾辻行人氏5作目の作品。それにしてもこれが1980年代の作品なんですねえ。(細部はともかく)大枠ではまったく古びていないのが凄い。本書まで綾辻氏の作品を読んでの綾辻氏の特徴は、ミステリはフェアプレイではなくてはならない、ということです。 ミステ…

『64(ロクヨン)』横山秀夫,文藝春秋,2012

横山氏の執筆期間を長くかけた新刊で、このミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど非常に評判がよい作品です。 警察署の広報官が主人公で、17年前の未解決の誘拐殺人事件にからむ署内の権力争い、不祥事に対する記者クラ…

『マンハッタン・オプII』矢作俊彦,ソフトバンク文庫,1985,2007

以前、本シリーズの第1作目を読みましたが http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20121021 、本書はその第2作目の作品。ニューヨークを舞台にした名無しの探偵が主人公の、短編あるいはショートショートともいってもいい16篇収録したハードボイルド短編集です。…

『法月綸太郎の新冒険』法月綸太郎,講談社文庫,1999,2002

「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の短〜中編をまとめたもの。鉄道ミステリだったり、オカルト番組に関連した殺人事件など、ベーシックな事件を様々な視点…

『沈黙者』折原一,文春文庫,2001→2004

折原一氏は1985年デビューですから今年でおよそ30年の作家生活。本作は、初期・中期・後期という分け方でしたら、中期にあたる作品ですかね。初期から一貫して叙述トリックを用いているのは変化がないのですが、有名なニュースからB級ニュースまで、実在の事…

『灰夜――新宿鮫?』大沢在昌,光文社文庫,2001→2004

新宿鮫シリーズは確か『炎蛹』あるいは『氷舞』まで、ほぼリアルタイムで追っていたのですが、そのあたりでワンパターン化して飽きてしまって、その後手に取らなくなりました。大沢氏の作品そのものは、例えば『闇先案内人』のように時折話題になったものは…

『マニアックス』山口雅也,講談社文庫,1998→2003

マニアックなミステリ作家である山口雅也氏の短編集。「孤独の島の島」「モルグ氏の素晴らしきクリスマス・イブ」「《次号につづく》」「女優志願」「エド・ウッドの主題による変奏曲」「割れた卵のような」「人形の館の館」の9編が収められています。コレク…

今年のベストのピックアップ!

今年、印象に残った作品は以下の通り。 『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』道尾秀介,講談社文庫,2008→2011 『湿地』アーナルデュル・インドリダソン, 柳沢由実子訳,東京創元社,2000→2012 『熱い十字架』スティーヴン・グリーンリーフ, 黒原敏行訳…

『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』道尾秀介,講談社文庫,2008→2011

道尾氏第8作目の作品。初出は『メフィスト』に連載されたもの。第140回直木賞候補、第30回吉川英治文学新人賞候補、第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞作とかなり評価をされています。 主人公の詐欺師二名のキャラクターにリアリティが…

「特集 ミステリが読みたい! 2013年版」『ミステリマガジン 2013年 01月号』2012――は試行錯誤中!

早川書房の年間ベストミステリランキング本は、昨年までムックで出版されていましたが、今年から『ミステリマガジン』の1月号の特集となったようです。ムック以前に戻ったということですが、価格は千円台後半ではなく、いつもの『ミステリマガジン』と同じ9…

『東西ミステリー ベスト100』文藝春秋編,週刊文春臨時増刊2013年1月4日号,2012――の結果は偏っている!

海外編100冊のうち既読は82冊。国内編102冊のうち既読は62冊。わたしは国内編は江戸川乱歩や横溝正史など古典をあまり読んでいないのです。今頃綾辻氏を読んでいるくらいだしね。 本企画は、投票者のすべての投票内容を掲載していただければベストでした。電…

『どんどん橋、落ちた』綾辻行人,講談社文庫,1999→2002

5つの短編をまとめた短編集。巻末解説によると19作目の作品。収録作は、「どんどん橋、落ちた」「ぼうぼう森、燃えた」「フェラーリは見ていた」「伊園家の崩壊」「意外な犯人」で冒頭には、「この作品集は並べられた順番どおりにお読みください」との注意書…

『幻惑の死と使途』森博嗣,講談社ノベルス,1997

S&Mシリーズ第6作目の作品。森氏の作品は読者を騙すことよりも整合性のある物理的トリックが成立することに重きを置いているため、わりあいトリックが想像できます。そこが物足りなく感じるところですが、信頼に足る作家であるともいえます。 オープニングか…

『マンハッタン・オプI』矢作俊彦,ソフトバンク文庫,1981→2007

矢作氏のマンハッタンの名無しの探偵が主人公のショートハードボイルドミステリ集。正直言って、今の自分には意表を突かれる面白さでした。 私立探偵が主人公のハードボイルドミステリは、警察小説と異なり、マニアのみが好み、一般化されるまでに至りません…

『人質カノン』宮部みゆき,文春文庫,1996→2001.

宮部みゆき氏の初期短編集。「人質カノン」「十年計画」「過去のない手帳」「八月の雪」「過ぎたこと」「生者の特権」「溺れる心」の7つの短篇が収録されています。 クライムミステリではなく日常ミステリが主でトリックや謎に重きが置かれておりませんが、…

『小説講座 売れる作家の全技術――デビューだけで満足してはいけない』大沢在昌,角川書店,2012.

大沢在昌氏の小説の書き方講座。『小説 野性時代』に連載されていたものを再編集してまとめたもの。月に一回、12名のプロの作家志望者を集めて、テーマに合わせた短編小説の提出を課題にし、それにそって講義+作品講評をしています。 講演者が大沢氏ですの…

『ボトルネック』米澤穂信,新潮文庫,2006→2009.

パラレルワールドもののSFミステリ…ではないか。むしろSFと言い切っていいと思います。 主人公の嵯峨野リョウは2年前東尋坊の崖から落ちて死んでしまった恋人当時中2のノゾミを弔うために、現場に花を持って赴いた。そこで思わぬことから意識を失い、再び目…

『ビブリア古書堂の事件手帖――栞子さんと奇妙な客人たち』三上延,メディアワークス文庫,2011.

発売以来少しずつ発行部数を拡大したベストセラーシリーズ第1作目の作品。確かメディアワークス文庫の第1回配本作品の一つだったような気がします。メディアワークス文庫そのものは、アスキーメディアワークスがライトノベルから離れてしまった、あるいは卒…

『迷路館の殺人』綾辻行人,講談社文庫,1988→1992.

本書は「新本格ムーヴメント」の第一人者、綾辻行人氏の第3作目の作品。私は新本格の流れは掴んではいたものの、決して系統的に読んでいない、決してよい読者ではありません。それは、このムーヴメントが起きた頃は、謎解きミステリから興味が離れていってし…

『ピース』樋口有介,中公文庫,2006→2009.

新作『刑事さん、さようなら』で第65回日本推理作家協会賞候補作になった樋口氏の少し前のノンシリーズ作品。文庫になって書店のポップ広告から評判を呼び発行25万部のベストセラーになったとうかがって手に取りました。というのは、樋口氏の作風は、一部の…

『憎悪の化石』鮎川哲也,元推理文庫,1959→2002

鮎川哲也の長編第5作目の作品。第13回日本探偵作家クラブ賞受賞作。端正な謎解きミステリです。 熱海の旅館で外出せずに長逗留していた、湯田真壁という男が、その旅館の部屋で心臓を2回刺されて殺されたところを発見された。湯田の残していた鞄の中身から、…

『看守眼』横山秀夫、新潮社、2004→2009

横山氏のバラエティ短編集。「看守眼」「自伝」「口癖」「午前五時の侵入者」「静かな家」「秘書課の男」の6編。それぞれ読ませてくれます。とくに、小市民的というか、他人には大した苦悩ではないのですが、本人にとっては大変な苦悩を体感させてくれます。…

『重力ピエロ』伊坂幸太郎、新潮社、2006

本作は伊坂氏の四作目の作品にして出世作。それまでマニア筋に注目を浴びてはいたものの、ミステリファンにまでは浸透していませんでしたが、本作でミステリファンに認知されました。さらに編集担当者がつけたと思われる印象的なオビにより、一般の人々にま…

『13階段』高野和明、講談社、2001→2004

このほど直木賞の候補になった高野氏の江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作。歴代の乱歩賞のなかでも評判が高く、映画化もされています。 傷害致死で2年間服役していた27歳の三上が出所した。しかし、三上の犯罪による損害賠償金のため家族は借金を背負い、決…

『封印再度』森博嗣、講談社、1997

S&Mシリーズ第5作めの作品。岐阜県の旧家の高齢の画家が蔵の中で血まみれで死んでいた。殺人とも思われるが、蔵が密室であったことから自殺にも考えられた。その高齢画家の娘と友人であった西之園萌絵は事件に興味をもつ。昔、その高齢画家の父親も同じよう…

『ブラックペアン1988』海堂尊、講談社、2007、2009

本書はミステリではなく、ある大学病院外科学教室でのドラマです。1988年東城大学総合外科学教室に、帝華大学のビッグマウスの講師の高階が送り込まれてきた。高階は新しい外科器具を用いれば、食道がん手術を今まで以上に簡単に行えると主張し、佐伯教授ら…

『犯人に告ぐ』雫井脩介、双葉社、2004→2007

本作は、雫井氏の5作目の作品。第7回大藪春彦賞受賞、第2回本屋大賞7位、週刊文春(ミステリーベストテン)第1位、2005年度「このミステリーがすごい!」第8位など、大いに評価を受けていたので気になっていましたが、雫井氏の作品は『火の粉』を読んだきりで…

『片眼の猿―One-eyed monkeys』道尾秀介,新潮社,2007→2009

やはり本書は、人間を描くミステリというよりも、あくまでも変格謎解きミステリだと思う。いや、この頃では変格というよりも王道かもしれない。なぜならば、読者をどのようにしてびっくりさせるかを目的にしているミステリだからだ。だから評価できる。 新宿…

『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉,小学館,2010

書店の店頭で、帯の「47万部突破!」に惹かれて購入しました。東川氏の作品ははじめて。大企業の令嬢で刑事の宝生麗子お嬢様が捜査を行い、その執事の影山という若い男が推理をするというパターンの6本の連作短編ミステリ。トリックそのものはオリジナリティ…

『ミステリーの書き方』日本推理作家協会,幻冬舎,2010

ミステリ作家43名がアイデア、プロットの作り方、視点についてなどミステリ小説を執筆するコツを披露したもの。とくに印象に残ったのが東野圭吾氏の「オリジナリティのあるアイデアの探し方」。映画やマンガなどを読むとき、なぜそのように感じたのかを突き…