日本ミステリ
古本好きの古書や本にまつわるエッセイ集。本好きならば共感持てる内容なので、本好きは必読です。文体が軽いのに、一編を読み終えると疲れが出てきます。おそらくは書名など固有名詞に対して一つひとつ引っかかりをもつからでしょう。 ちなみに以下は本日行…
新聞の人生相談コーナーをモチーフにした奇妙な話の連作短編集。 前もって、人生相談をネタにしたものぐらいの知識でしたので、1編目を読んで、そのあまりの短さに、もっと掘り下げられるネタなのにもったいない、と思いましたが、読み進むにつれて、人生相…
岡嶋二人氏の昔の短編集に、新たに未収録短編を3本収載し、新たに発行したもの。「記録された殺人」「こっちむいてエンジェル」「眠ってサヨナラ」「バッド・チューニング」「遅れて来た年賀状」「迷い道」「密室の抜け穴」「アウト・フォーカス」「ダブル・…
横山秀夫氏の第6作目の作品で6本の短編が収録されています。F県警の捜査第一課のメンバーをそれぞれ主人公にしており、F県警捜査第一課シリーズというものでしょうか。 収録作は「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「就任のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソ…
京極氏の「弔堂」という古書店を舞台にした連作短編集。「臨終」「発心」「方便」「贖罪」「闕如」「未完」の6編。 舞台は明治時代。二葉亭四迷が『浮雲』を出版した頃。京極氏の作品は全部は読んでいないものの、初期作から中期までは読んでいる者としてで…
たまには統括しようと思うのですが、私の読書傾向は高校時代から毎年変わらないなあ、と嘆いていたら、社会人になってから読書時間が短くなったために古典を読まなくなったことに気づいて、さらに嘆きたくなります。本来は古典を読まなくてはならないのです…
毎年恒例になったらしい2013年発行のミステリ・ベスト・ランキング発表号です。 海外篇ベスト20のうち既読は4作ですが、そのうちベスト3を占めていました。といっても、どれもその作家の最高傑作とはいえず少しがっかりしたのですが……。 国内篇はベスト20の…
さて、書評された内容で自分に合うかもしれないと、かねがね気になっていた新人のミステリ短編集です。アラビアの砂漠、スペインの風車、ロシアの修道院、ブラジルのアマゾンなどを舞台にした、一人の日本人の青年が主人公の連作ミステリが5作収録されてい…
法月氏の今年3月に発行された新作。発売当時にタイトルからハードミステリではないかと興味をもって読もうとしたのですが、あとがきをみたら『本書には「本格」SF(本格ミステリを主題にしたSFの意)の中短編を四編収めました』としていたので手を引いたの…
フリーライターの柚木草平シリーズの長篇第4作目の作品。地味系の女子大生を主人公にすえた連続殺人事件を追う話で、柚木は主人公に依頼を受けるわけでもなく、フリーライターの立場で事件の真相を突き止める。 殺された女性二人は一見接点がなく、殺人方法…
山田風太郎のミステリ短編集。収録作は「厨子家の悪霊」「殺人喜劇MW」「旅の獅子舞」「天誅」「眼中の悪魔」「虚像淫楽」「死者の呼び声」の7作品。謎解き・サスペンス・ホラーの趣をもっています。とくに「厨子家の悪霊」ですが、どんでん返しがドミノの…
森博嗣氏の第7作目の作品。前作の『幻惑の死と使途』と時間的に同時期で対をなす作品ですが、本作から森氏が少し変わったのではないかという印象を持ちました。前作までは純粋な物理的な謎解きミステリにこだわってきましたが、それ以外の要素を入れ込んでき…
SF作家の小林泰三氏の謎解きミステリの短編集。目次に「大きな森の小さな密室 犯人当て」「氷橋 倒術ミステリ」「自らの伝言 安楽椅子探偵」「更新世の殺人 バカミス」「正直者の逆接 ??ミステリ」「遺体の代弁者 SFミステリ」「路上に放置されたパン屑の…
本書は、大学休学中に古書店で働く大学休学中の青年を主人公にしたノンシリーズの謎解きミステリ。その青年、菅生芳光が店にいると、松本から来たという若い女性が、『壺天』という同人誌を探しているとお客としてあらわれた。 その同人誌の世話人がその古書…
道尾氏のサスペンスミステリ。アマチュアロックバンドの練習中に起きたメンバーの1人が死んだ殺人事件にまつわる物語です。そのメンバーの1人である姫川亮という男が主人公なのですが、メンバーの1人がスタジオで起きた事件と言うことで、犯人はかなり限定的…
近頃、仕事で心が疲れているので、短編集がよいなと思って手に取った、有栖川氏の4つの中短編を収録した短編集です。収録作は、「あるYの悲劇」「女彫刻家の首」「シャイロックの密室」「スイス時計の謎」で「スイス」が100頁を占めます。すべての文字が謎解…
本作は、宮部みゆき氏の代表作『模倣犯』の主人公のジャーナリストである前畑滋子の9年後のお話です。私は『模倣犯』をハードカバーの2001年発売当初に同僚に借りて読んでいるので、10年以上ぶりになります。 本書のオープニングから、主人公の前畑の前作の…
2011年、第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。新人賞ながら2012年版の「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」で第6位に選ばれた作品です。綾辻氏、北村氏、馳氏が絶賛しているのも気になって手に取りました。 冒頭から体言止めが多く出てく…
綾辻行人氏5作目の作品。それにしてもこれが1980年代の作品なんですねえ。(細部はともかく)大枠ではまったく古びていないのが凄い。本書まで綾辻氏の作品を読んでの綾辻氏の特徴は、ミステリはフェアプレイではなくてはならない、ということです。 ミステ…
横山氏の執筆期間を長くかけた新刊で、このミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど非常に評判がよい作品です。 警察署の広報官が主人公で、17年前の未解決の誘拐殺人事件にからむ署内の権力争い、不祥事に対する記者クラ…
以前、本シリーズの第1作目を読みましたが http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20121021 、本書はその第2作目の作品。ニューヨークを舞台にした名無しの探偵が主人公の、短編あるいはショートショートともいってもいい16篇収録したハードボイルド短編集です。…
「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の短〜中編をまとめたもの。鉄道ミステリだったり、オカルト番組に関連した殺人事件など、ベーシックな事件を様々な視点…
折原一氏は1985年デビューですから今年でおよそ30年の作家生活。本作は、初期・中期・後期という分け方でしたら、中期にあたる作品ですかね。初期から一貫して叙述トリックを用いているのは変化がないのですが、有名なニュースからB級ニュースまで、実在の事…
新宿鮫シリーズは確か『炎蛹』あるいは『氷舞』まで、ほぼリアルタイムで追っていたのですが、そのあたりでワンパターン化して飽きてしまって、その後手に取らなくなりました。大沢氏の作品そのものは、例えば『闇先案内人』のように時折話題になったものは…
マニアックなミステリ作家である山口雅也氏の短編集。「孤独の島の島」「モルグ氏の素晴らしきクリスマス・イブ」「《次号につづく》」「女優志願」「エド・ウッドの主題による変奏曲」「割れた卵のような」「人形の館の館」の9編が収められています。コレク…
今年、印象に残った作品は以下の通り。 『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』道尾秀介,講談社文庫,2008→2011 『湿地』アーナルデュル・インドリダソン, 柳沢由実子訳,東京創元社,2000→2012 『熱い十字架』スティーヴン・グリーンリーフ, 黒原敏行訳…
道尾氏第8作目の作品。初出は『メフィスト』に連載されたもの。第140回直木賞候補、第30回吉川英治文学新人賞候補、第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞作とかなり評価をされています。 主人公の詐欺師二名のキャラクターにリアリティが…
早川書房の年間ベストミステリランキング本は、昨年までムックで出版されていましたが、今年から『ミステリマガジン』の1月号の特集となったようです。ムック以前に戻ったということですが、価格は千円台後半ではなく、いつもの『ミステリマガジン』と同じ9…
海外編100冊のうち既読は82冊。国内編102冊のうち既読は62冊。わたしは国内編は江戸川乱歩や横溝正史など古典をあまり読んでいないのです。今頃綾辻氏を読んでいるくらいだしね。 本企画は、投票者のすべての投票内容を掲載していただければベストでした。電…
5つの短編をまとめた短編集。巻末解説によると19作目の作品。収録作は、「どんどん橋、落ちた」「ぼうぼう森、燃えた」「フェラーリは見ていた」「伊園家の崩壊」「意外な犯人」で冒頭には、「この作品集は並べられた順番どおりにお読みください」との注意書…