ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『日本妖怪異聞録』小松和彦,小学館ライブラリー,1992→1995

 日本の妖怪のなかの主要な妖怪をやさしく紹介したもので、誰でも理解できます。酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳上皇、紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫の物語を紹介し、それを民俗学見地からルーツはどこにあるかを推理するという体裁をとっています。

 たとえば、酒呑童子でしたら、「彼ら鬼たちは龍神=大蛇=雷神のイメージを重ね合わせており、酒呑童子が大酒飲みと描かれているのは、近江誕生説にしたがえば、彼がヤマタノオロチ=伊吹明神の血を引く異常な「人間」であったからである。」(38頁より)とし、酒呑童子の怨念は被征服民の魂の叫びであると述べています。

日本妖怪異聞録 (小学館ライブラリー)

日本妖怪異聞録 (小学館ライブラリー)