ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『カラスの親指 by rule of CROW’s thumb』道尾秀介,講談社文庫,2008→2011

 道尾氏第8作目の作品。初出は『メフィスト』に連載されたもの。第140回直木賞候補、第30回吉川英治文学新人賞候補、第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞作とかなり評価をされています。

 主人公の詐欺師二名のキャラクターにリアリティがあり、他の作品でも感じたことですが、このようなチンピラを描かせて上手いと思わせる作家は希少ですね。ストーリーも中途で「アレ?」と思わせるような伏線をきちんとはって、最後のどんでん返しまで持っていくところなど素晴らしい。リーダビリティも抜群で、都筑道夫氏が読んだらどのような感想を抱いたのだろうと感じずにはいられません。

 そういえば、このような軽ハードボイルドのノリのところは、都筑道夫作品に似ていますね。もうそれだけで感謝で☆☆☆☆★というところです。

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫)