ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2013-01-01から1年間の記事一覧

『灰夜――新宿鮫?』大沢在昌,光文社文庫,2001→2004

新宿鮫シリーズは確か『炎蛹』あるいは『氷舞』まで、ほぼリアルタイムで追っていたのですが、そのあたりでワンパターン化して飽きてしまって、その後手に取らなくなりました。大沢氏の作品そのものは、例えば『闇先案内人』のように時折話題になったものは…

『屍者の帝国』伊藤計劃, 円城塔,河出書房新社,2012

昨年話題になったSF小説。ミステリ関係の各種ベスト企画にも顔を見せていたので読みました。フランケンシュタインを生成する技術から屍者を生成する技術が生まれた世界が舞台。若かりしワトソンが密命を受けて、その技術の秘密を追って冒険するというもの。…

『喪失』モー・ヘイダー, 北野寿美枝訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2010→2012

2012年度のアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞受賞作。作者のモー・ヘイダーのジャック・キャフェリー警部ものの第5作目の作品。 冒頭のカージャック事件から少女誘拐事件に至るまでの展開は面白いのですが、語り口は重厚でじっくりしており悠然と進みます。し…

『ナイルに死す』アガサ・クリスティー, 加島祥造訳,ハヤカワ文庫―クリスティー文庫,1937→2003

質の良い謎解きミステリを読みたいと思うと、ローテーションでクリスティの出番が巡ってくるのはしょうがないですね。改めてクリスティやクイーンを読むと、ほかの作家を評価するとき、思わずダブルスタンダードを使ってしまうくらい、レベルの違いを感じま…

『できそこないの男たち』福岡伸一,光文社新書,2008.

福岡伸一氏の科学ノンフィクション。精子から遺伝子レベルまでの発見を通して、生物がメスからオスに変化したプロセスを述べた書。高校時代の生物の授業を思い出しました。タイトルは、生物のデフォルトの性別は女であり、男は一つの遺伝子によって生物的に…

『現代短篇の名手たち5 探偵学入門』マイクル・Z・リューイン, 田口俊樹・他訳,ハヤカワ・ミステリ文庫,2009

早川書房の「現代短篇の名手たち」シリーズの一冊。このような企画は大歓迎です。時間的や精神的に短篇しか読むことができないときがあるので、短編集は定期的に出版してほしいものです。それも「総頁数350頁以内」だと嬉しいです。出版社(編集者)は短篇だ…

『ゴールデンタイム番外 百年後の夏もあたしたちは笑ってる』竹宮ゆゆこ, 駒都えーじ,電撃文庫,2013

「ゴールデンタイム・シリーズ」の「番外」編。発売日とともに購入。わたしにとって、そのような小説はないので珍しい。 前回は「外伝」でした。本編からスピンオフの「光央の部屋」「百年後の夏もあたしたちは笑っている」「サマーナイトツアー」のコメディ…

『エンプティー・チェア』ジェフリー・ディーヴァー, 池田真紀子訳,文春文庫,2000→2006

リンカーン・ライム・シリーズ第3作目の作品。タイトルのエンプティ・チェアとは、『クライエントの心の中の分身・自分自身・重要な人物・事物・身体の一部・架空のものと対話の必要が生じたときに、クライエントの座るホット・シートの前にある空の椅子にそ…

『マニアックス』山口雅也,講談社文庫,1998→2003

マニアックなミステリ作家である山口雅也氏の短編集。「孤独の島の島」「モルグ氏の素晴らしきクリスマス・イブ」「《次号につづく》」「女優志願」「エド・ウッドの主題による変奏曲」「割れた卵のような」「人形の館の館」の9編が収められています。コレク…