2013-01-01から1年間の記事一覧
ミネット・ウォルターズの2001年の第7作目の作品。ウォルターズの作品は初期作を2〜3作読んでいるような気がしますが、内容は全く憶えていません。「結構、普通のサイコサスペンスミステリだなあ」という印象が残っています。本書は書評などで評判がよかった…
『二流小説家』の作者の第2作目の作品。『二流小説家』はライトノベル+ソフトボイルドのノリがあって非常に愉しい作品でした。日本で異常に受けてしまったようですけど。まあ、私も同じテイストを求めて新刊で購入したわけですが、読んでみて驚きましたよ。…
少し唐突のような気がしますが完結してしまったのですねえ。残念です。私にとって最も怖いマンガは『まんが道』の連載を次々と落としたところなんですよねえ。一時期はそのエピソードは飛ばして読んでいたくらいです。愛…しりそめし頃に… 12 (ビッグコミック…
精神的に病んだり問題のある人とその家族に焦点をあてて書かれたエッセイ集。タイトルの「違和感」にあるとおり、その違和感を切り口にすえていて、新しい分類法になっているような感じがします。例えば、「コントロール願望」という言葉。自分をコントロー…
巻末の解説によると、ブラウン18冊目の推理小説。原著発行の1959年の翌年の1960年に翻訳出版されているということは、当時いかに人気があったかが分かります。原著が出版されたら自動的に翻訳していたのでしょう。タイトルもいかにもヒッチコックの映画のよ…
各方面の書評で尋常ではない評価を受けていたので読んでみましたが、内容と用語が難解で十全に理解したとはいえません。というわけで、私は、もし「なめらかな社会」が訪れたらどうなるのか、SF小説として読みました(著者もSFの原案をしていたことがあるよ…
朝日新聞の書評で絶賛されていたので興味をもって購入。いとう氏の作品は初めてです。私にとって、いとう氏で思い出すイメージは、永倉万治の文庫の解説なんです。『ホットドッグプレス』の編集時代のお話でした。 本書なのですが、38歳の男がパーソナリティ…
ヘニング・マンケルの刑事ヴァランダー・シリーズ第2作目の作品。リガとはラトヴィアの首都のこと。ラトヴィアといえば、先日、サッカーの親善試合を行い日本が敗北した国で、ワールドカップ予選で好調な国であるという認識しかなかったのですが、バルト三国…
綾辻行人氏5作目の作品。それにしてもこれが1980年代の作品なんですねえ。(細部はともかく)大枠ではまったく古びていないのが凄い。本書まで綾辻氏の作品を読んでの綾辻氏の特徴は、ミステリはフェアプレイではなくてはならない、ということです。 ミステ…
表題作の短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞受賞、それに加えて「人間の王」「清められた卓」「象を飛ばした王子」「千年の虚空」「原爆の局」の5短編を加えて短編集としたものが本書。本書で第147回直木賞候補、第33回日本SF大賞(これは「盤上…
『新潮45』で第9回新潮ドキュメント賞を受賞した自叙伝に近いノンフィクション。著者は脳性まひ者で身体の不自由をかかえ、東大医学部に入学、医師になった。現在は臨床を少なくし研究がメインなのでしょうか。 まあ迫力のある内容で、自らの身体の動きと精…
横山氏の執筆期間を長くかけた新刊で、このミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど非常に評判がよい作品です。 警察署の広報官が主人公で、17年前の未解決の誘拐殺人事件にからむ署内の権力争い、不祥事に対する記者クラ…
本書には解説がなく「A・A・フェア著作リスト」が掲載されており、それによると本書はドラルド・ラム&バーサ・クール・シリーズ全29作(そんなにあるのかよ!)中、9作目の作品。読む前は、比較的初期だから悪い作品ではないのだろうと予想。 太平洋戦争戦線…
前の巻で事故で終わってしまったところで、ハチクロと同じ展開でシリアスモードに入るのかなと思っていたら、本巻でコメディ+日常モードにきちんと戻って安心しました。というところで、私は本シリーズを見誤っていたのでしょう。『とらドラ!』のような作…
以前、本シリーズの第1作目を読みましたが http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20121021 、本書はその第2作目の作品。ニューヨークを舞台にした名無しの探偵が主人公の、短編あるいはショートショートともいってもいい16篇収録したハードボイルド短編集です。…
P・D・ジェイムズの第2作目の作品。以前読んだ『わが職業は死』http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20110822 では厳しいことを書いていますが、時を経るごとに、「あんなご都合主義の複雑なミステリはなかったなあ」とやけに面白い記憶だけが残ってきたので、…
多く出回っている編集者の仕事についてのエッセイは、どのように企画があがってきたかを記すものが大半ですが、本書は元新潮社の文芸をメインとした編集者が原稿を受け取ってから書籍にするまでを記したものです。「すべては判型から出発する」「頁はどこか…
私にとっては、久しぶりの事件物のノンフィクションです。本書は、表4の紹介文に『執念の取材を続けた記者がたどり着いた意外な事件の深層、記者の闇とは』の後に続く、『「記者の教科書」と絶賛された、事件ノンフィクションの金字塔!』という二つの視点か…
どこかは失念してしまいましたが書評で興味をもって手にとりました。イオニアの自然哲学から始まるギリシア哲学の起源を示したもので、なぜソクラテスの思想によって一つの完成をみせるのか、論理的に示しています。といっても、私の哲学の歴史の知識は大学…
クックの第24作目の作品。実は私はクックの筆致が苦手です。描写が薄ぼんやりしていて雑踏の中を歩いているかのように感じます。それでも手に取ってしまうのは、一瞬風景がグルリと回転する瞬間を見せてくれることがあるからです。本書もそうならばよいので…
「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の短〜中編をまとめたもの。鉄道ミステリだったり、オカルト番組に関連した殺人事件など、ベーシックな事件を様々な視点…
未だに私にとっては森見氏は『夜は短し歩けよ乙女』の著者で、本作は日本ファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作。『夜は…』は非常に愉しんだので、他の作品も辿って読むつもりだったのが、どういうわけかこれまで時間が空いてしまいました。 主人公は…
2009年刊行のイタリア産サイコミステリ。ヨーロッパ各国で数々の賞を受けるなど評価を受け、ベストセラーになり、23カ国で刊行されたらしい。作者のドナート・カッリージは映画・テレビなどの脚本家になり、本書で作家としてデビューを果たしたとのこと。翻…
一昨年に各ミステリベストアンケートで上位に挙げられていたドイツの短編集。「犯罪」にまつわるスケッチともいった作風で、ミステリというよりも文学に近い。アゴタ・クリストフや村上春樹の初期短編のテイストに似ているので、それらが好きな人にとっては…
星海社の新しい新書シリーズの第1弾。新聞かウェブの書評でベストセラーになっているというのが頭に引っかかって、たまたま書店で見かけて購入したもの。著者は知りませんでしたが、東大→マッキンゼー→投資家という経歴らしい。内容は、人生において選択に迷…
ホモセクシュアルの保険調査員デイヴ・ブランドステッターシリーズ全12作中第10作目の作品。いよいよ残り少なくなってきました。デイブは保険調査員を体力の衰えなどから引退しようとしていたところから始まります。 多くの老朽船があるマリーナに船上生活…
著者の小熊氏は経歴をみると、東大農学部卒後、出版社勤務の後に、大学院に入ったと記述されています。人文系マイナー出版社かなと予想していましたが、ウィキペディアに公開されていましたね。ある意味王道ですね。大学院に入り直した編集者を二名知ってい…
折原一氏は1985年デビューですから今年でおよそ30年の作家生活。本作は、初期・中期・後期という分け方でしたら、中期にあたる作品ですかね。初期から一貫して叙述トリックを用いているのは変化がないのですが、有名なニュースからB級ニュースまで、実在の事…
「体験された内容と実際とがことなることは、総称して錯覚(illusion)と呼ばれる。また、視覚に関する錯覚は錯視(visual illusion)、事柄についての認識が客観的事実と異なることを錯誤(mistake)と呼ぶ」(6〜7頁より)。本書は、どのような錯覚がある…
うわっ、やっちまったよ。以下は、ほとんどネタバレなので未読の方は2つめのパラグラフまでで、無色に反転されてた文書の後は読まない方がいいですよ。 クルト・ヴァランダー警部シリーズはせっかく文庫で出版されているのだから、最初から読んでいきたいと…