ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『30代未婚男』

30代未婚男 (生活人新書)

30代未婚男 (生活人新書)

「なぜ男性が未婚化しているのか」について研究した本。著者が(株)リクルートワークス研究所の所属で,『下流社会』と同様,いかにもマーケティングの視点に特化して書かれています。アンケート,データを集め,結論を出す。マーケティングそのものが少数意見をあまり見ないからなのか分からないけど,深みに欠けるように感じますが,内容はおおむね同意です。以下はぼくが気になったところです。
●夫婦の年齢差別婚姻件数をみると,「7歳以上年上の男性と結婚した女性は全体の1割しかいない」(46ページ)となっているらしい。そうなんですか。カミさんに,その話をしてみると,「そういえば,私の周りでも1人しかいないなあ」とのこと。ぼくの周りでもいたかなあと考えてみても,二組ぐらいでしたね。世代を超えたコミュニケーションが取りにくくなっているのですから,当たり前といえば当たり前ですかね。年齢が離れた夫婦って,男性が年上だと羨ましくなりますが,リアルに想像すると,なんか難しいかもしれないですね。
しかし,「男性は31歳を過ぎると年下との結婚願望が強くなり,40歳を超えると少なくとも5歳以上若い女性と結婚したいと考えているという結果が出ている」(134ページ)には,もう男はしょうがないというか,駄目ですなあ。男性として,気持ちは分かるんですけどねえ。自分の価値を客観的に把握できないんでしょう。自分が女性だったら,どんな男性を求めるかを考えたらいいんですけどねえ。
●現代の男性は,女性に「付き合ってください」と告白できない,としています。これはよく理解できますね。「なぜ自分から言い出さないのか。最近の男性に特徴的なのは,「傷つくのが怖い症候群」だ。自分の言動で傷つくのが怖いのではなくて,その反応で自分が傷つくのが怖いのだ」(161〜162ページ)というのは,ぼくにとってはそのとおりですね。だから,冗談っぽく言うとか,考えましたが,そうするとスルーされてしまう。だから,傷つくのを怖がっちゃいけないんですけどね。でも,中坊の頃から現在まで,フラれるのを繰り返しますと,ますます臆病になって,トラウマになり,傷つくのが怖くなりますね。モテる人はいいんですよね,成功率が高いから,次があると思えますものね。
●「心理学者のマーラビアンは,実験の結果から,対人態度=表情×55%+音声×38%+会話×7% という法則を導き出している」(206ページ)。最近『見た目が9割』というタイトルの新書がありましたが…。どうなんでしょう? 
●「実は,このような初歩的なコミュニケーション力の欠如という問題は,しばしが就職力の観点で語られることでもある」(207ページ)。これはポイントですよね。モテる人の人生って,すべての物事がうまく運んでいるように見えまするというのは,そういうことなんでしょう。
他に,労働の問題も書かれていますが,これは後日に,他書とからめて,書くつもりです。
それにしても,下記の男性の発言はかっこいいなあ。まあ,自分の中で想定している相手がいるようですからね。いいんじゃないでしょうか。

「エロくて教養のある女。結婚したら民法上は浮気できないわけだから,夜の生活で一生飽きない女性じゃないと。あと,俺は趣味が多いし政治経済にも関心があるから,何も考えていないような女は嫌だね」(104ページ)