ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『ワイオミングの惨劇』

ワイオミングの惨劇 (新潮文庫)

ワイオミングの惨劇 (新潮文庫)

ゴールドラッシュも終え,州に昇格したばかりのワイオミング州の近くの“二十マイル”という小さな町。住民は十五人。そんな町にバカでかいショットガンを背負ったマシューという若者が遠方から歩いてやってきた。マシューは自らの愛想のよさと才覚で,細かい仕事を得る…。そこへ刑務所から脱獄した三人の凶悪犯が姿を現した。
トレヴェニアンは初読。なんと言ったらよいのか,不思議な味わい。西部劇を舞台にしていますが,ヒーロー譚ではありません。神話的というほうが正しいかもしれません。近いところを挙げれば『神無き月十番目の夜』かもしれません。
本書を読んでいる途中,主人公のマシューが『パイナップルアーミー』に出てきたワイン商の少年を思い出しました。