ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵,サンマーク出版,2010ーーミニマリズムへの橋渡し

 ①私は片付けができないので、どのようにしたらよいのか、②なぜ本書がベストセラーになったか、の2つの興味で今更ながら手に取りました。

 まず、驚いたのが、片付けの本にもかかわらず、図や写真がまったくなく、文字しかないこと。これでどうしたベストセラーになったのか。一般実用書で売るには図表はかかせません。ましてや片付けがテーマです。いくらでも可能なはずです。

 読んでみてわかったのは、いまのミニマリズム流行(流行しているのか?)の一端というか、始まりの一つは本書であることです。片付けそのものが人生に影響を与えるという考え方、ときめくモノだけを捨てずに残すという方法が。著者はミニマリストではないと思うのですが、この影響を受けて発展したものがミニマリズムでしょう。なるほど、どのような思想でも流れというものがあることがわかります。

 また筆者のパーソナリティも面白い。幼少期から『ESSE』や『オレンジページ』を愛読していたという経歴には、「ああ、そういう人もいるかもしらない」という驚きと納得をもちました。そしてところどころに、中学生、高校生のころから、日常生活で片付けを考え、失敗してきた思考改善過程を述べているところも、非常に若い著者の主張に説得力を与えます。

 これが私にできるかどうかはわかりませんが、まあ仕事場のデスク回りだけでも実行してみようかなと思います。 

人生がときめく片づけの魔法

人生がときめく片づけの魔法