ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『キングを探せ』法月綸太郎,講談社文庫,2011,2015

 本書はランキングなどで評価を受けた謎解きミステリですが、どうも私には乗ることができませんでした。

 こういっては読者として敗北なんですけど、殺人というものは、ほとんどの人にとって初めてで、その初めてのことを本書のようにやり遂げるのこと、また失敗することは、どうしても現実にフィットしないのです。

 思えば『生首に聞いてみろ』で従来の謎解きミステリを書き上げた後は、それに飽きてしまったかのように、実験的な試みを注入しているような気がします。それが私には受け入れられないのでしょう。 

 ただ、最小限の記述で最大限の効果を上げようしているのは、素晴らしいと思いますし、それでいて習作という感じがします。この後、習作を集大成した大長編が来るのでしょうか?

キングを探せ (講談社文庫)

キングを探せ (講談社文庫)