ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『夜よ鼠たちのために』連城三紀彦,宝島社文庫,1986,2014

 連城氏の比較的初期のミステリ短編集。「二つの顔」「過去からの声」「化石の鍵」「奇妙な依頼」「夜よ鼠たちのために」「二重生活」「代役」「ベイ・シティに死す」「ひらかれた闇」の9編が収録されていて、一つひとつが様々なトリックが仕掛けられていて、読み進めるのに時間がかかります。しかし、初出が1981~1983年で古い作品だから当たり前なのですが、登場人物が古臭く感じるのなぜなのでしょうか。風俗がまったく書かれていないからでしょうか。同時代のほかの作品と比較しても、登場人物の思考が古いような感じがします。トリックが複雑でよいのですが、そこが残念ですね。☆☆☆★というところです。 

夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)