私にとってマイケル・シェイボンは、『ピッツバーグの秘密の夏』でデビューした作家。『ピッツバーグ』の内容はよく覚えていないけど。
本作『ユダヤ警官同盟』は、アメリカ・アラスカ州ににユダヤ人の特別区があり、その返還が迫っているなかでの殺人事件を追う刑事の物語。設定はすこしSF、展開がミステリで、主人公の刑事が酒浸りでしかたなく、そして興味をもって、一人で殺人事件を追うところなど、ネオ・ハードボイルド風味があります。
アメリカでも日本でも、世界的にハードボイルド小説は壊滅状態で、そのなかでどのように再生させるかは、いろいろな作家が考えています。それは、謎解きミステリ・パズラーと同じですね。そういうなかで、たぶんエルロイなどは変化してきた。エルロイはハードボイルドミステリの変形だと思う。本作も、その試みの一つで、違和感をもたないし、作品が成立しています。それは、それでとても好感がもてます。
としつつも、設定のユダヤ人の歴史と宗教の意味をよく知らないためか、きちんと面白みを感じることができず残念。たぶん、知っている人にとってはニヤニヤしつつ読んでいるのだろうけど。謎解きミステリとしても、意外性はあるものの、もう少し読者に手がかりを与えてもいいんじゃないかと感じます。☆☆☆★です。
- 作者: マイケルシェイボン,黒原敏行
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