ウィリアム P.マッギヴァーンは第二次世界大戦後に活躍したミステリ作家で,主に悪徳警官ものが多いとされています。 日本の翻訳ミステリは,戦後から本格的になりますが,最初は戦前から引き続き,クリスティ,クイーンなどの謎解きものから紹介されていき…
著者はTBSテレビの番組の「クレージージャーニー」でゲストの一人です。この番組は毎回見ていて,このゲストの本って読みたくなりますよね。丸山ゴンザレス氏でも,他の冒険者でも。何でですかね。番組を見ていると,一部しか見せてくれない,もっと見たいの…
うーん,面白い。新谷かおる先生の編集者の詰め方は,比較的後期の作品の編集者から,週のほとんどを編集部で詰めていたと聞いたことがあります。この連載は『ファントム無頼』か『ふたり鷹』の初期だと思うんですが,その頃から,こんなに苦労していたんで…
昨年,評判が高かった『ヤマト』のプロデューサーの西崎義展の生涯を述べられたノンフィクション。 いやー,久しぶりですね,いわゆる「怪物」の伝記ですね。「怪物」とは正確に何といったらよいかわからないのですが,大いなることを行うためには,犯罪を含…
『本の雑誌』の 「出版社を作ろう!」という特集には,とても心惹かれましたねえ。僕は昔,社員3名の小さな出版社に勤めていて,また,ぼんやりですが会社を辞めることを考えているので。しかし,出版社を作ることまでは考えていなかったですけど。 数年前に…
竹宮惠子氏の東京上京から『風と木の詩』の連載まで綴ったエッセイ集。 最初は書き下ろしかと思っていたけれど、奥付前のクレジットをみると語り下ろしらしいですね。オーケンの『サブカルで食う』も語り下ろしでしたが、このように自らの手札を披露するエッ…
隻腕の私立探偵のダン・フォーチューン・シリーズの第3作目の作品。隻腕の設定は意味がないと思えるほど、本格的ハードボイルド小説です。 リカルド・ヴェガは大物俳優で演出家でプロモーターでもあった。ヴェガの舞台で女優のマーティーは役を得たがヴェガ…
これらの2冊を読んで、お金を増やすには、自分の全部の時間を集中しなくてはならない、ということがわかりました。片手間ではダメですね。 インターネットの時代になってからは、あらゆる情報が分散してしまった感じがします。昔は、新聞とテレビ、あと自分…
アメリカの新人の処女作。もっともケプネスは短編を多数発表していたり、雑誌やwebで記事を書いたり、放送作家や映画監督をしたりなど、多才な生きの良い人物のようです。年齢もわからないしね。本書は新聞の書評で、ストーカー小説だけど普通のものとは少し…
この頃、編集者本の出版が増えているような気がします。あれとかこれとか……(すでに購入しています)。そんななかで本書は、電撃文庫でヒットを飛ばしているスター編集者の編集術をまとめたものです。 私の仕事内容とは異なりますが、少しでも参考になればな…
昨年、各種ベストテンで好評を得た女性の私立探偵を主人公にした小説です。なかなか私立探偵小説は評価を得ることが難しいのですが。読んでみて、なるほど、と思いました。 読者と生活レベルが等身大的であり、欠点もあるけれど基本的に明るい、好感を抱く主…
綾辻氏の「館シリーズ」の第5作目の作品。第1作目から工夫を凝らしていましたが、本書でもさらに新味と工夫を加えています。 鎌倉にある統計屋敷――日本有数の時計メイカーの前会長・古峨倫典が建築家・中村青司に設計を依頼した館で、通称「時計館」と呼ばれ…
ブックオフの功績の一つとして、それまで古本で扱ってこなかった分野の書籍を古本として流通させたことといわれています。ビジネス書の分野がそれにあたります。いまはアマゾンが大きく占めていますが。私もビジネス書は興味なかったのですが、今頃になって…
本書はタイトル買いです。筆者のひとりが『ヤバい経済学』の著者。ビジネス書という予想に反して、本書はエッセイ集といった趣でした。先入観をもたずに考えることが必要だということですが、そのノウハウが欲しかった。事例として小林尊氏が挙げられていま…
NHKの番組で評判になったハーバード大学の講義の教授であるサンデル氏のベストセラーになった哲学書。番組を文字起こしした書籍だと思っていたので、リアルタイムでは手に取らなかったのですが、やたらブックオフに置かれたいるので(表紙が目立つ)、手に取…
立川談春氏の自らの入門から真打ちまでの修業時代についてのエッセイ集。とにかく語り口がうまく、するする読むことができる。すぐれた作品がそうであるように、エッセイ、青春小説、業界小説、師匠と弟子の小説など、さまざまな視点で読むことができる。タ…
■ 『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015 ようやく最終巻。雑誌連載でも読んでいましたが、アレはやっぱりミスリーディングじゃあないでしょうか。 ピアノの森(26)<完> (モーニング KC) 作者: 一色まこと 出版社/メーカー: 講談社 発売日: …
さまざまなミステリを書いた結城昌治氏の初期~中期の作品。解説によると1965年発行で50年経っています。 主人公は独身の31歳の沢井という刑事です。沢井は普段は真面目な刑事で、かつ、仕事のこと、女のこと、金のことなど、さまざまな闇を抱えています。あ…
野崎まど氏の(おそらく)5作目の作品。野崎氏の架空の設定の中でアクロバットな論理展開の後にリドルミステリに落ちつくという特徴があります。さらに、とぼけた感のある非常に特徴的なキャラクターとギャグが備えてあり、決して重くはならない作風です。ち…
書籍の企画のネタになるかもしれないと思って手に取った本。「誰も損をしなければ何をしてもよいか?」「不平等が許される場合とは?」など哲学・倫理学の100のテーマについて、具体的な小話と解説が記されています。さらっと読んだだけですので、役に立つか…
先頃亡くなられた小鷹氏と作家の逢坂氏のハードボイルド小説と映画についての対談本です。映画のところはすっ飛ばして、小説のところだけ読みました。このお二人ですからハメットの話ばかりでした。 翻訳作法のところが面白かったですね。エルモア・レナード…
インドリダソンの翻訳3作目の作品。これまでの中でもっとも素晴らしい作品でした。これが、2002年の作品か、なぜもっと早く翻訳されなかったのだという思いでいっぱいです。雰囲気は、メグレ警部シリーズに近く、それをもっとわかりやすく説明を加えたものと…
最近、アニメがどのように作られているか、ビジネスとして展開されているか、強く興味をもつようになりました。どうしてこのようなアニメの企画が通ったのか、何を収益の柱にしているのか、不思議なものが多くあるんですね。 本書はそのようなコンテンツビジ…
一昨年、翻訳ミステリでなかなかの評価を受けた、87歳の元敏腕刑事の老人が主人公のハードボイルド・ミステリ。というよりも、ナチもののコミック・ミステリでした。 元殺人課刑事のバック・シャッツは親友から臨終のときに、二人だけで昔の千艘の話としたい…
海外ミステリの短編集。まさに企画の勝利というか、今まで早川書房はこれだけの資産をどうして遊ばせていたのか、と思います。 収録された作家は、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、ルース・レンデル、ジャック・フ…
ここ数年、本当に読書量が落ちてきました。今年は昨年に引き続き、仕事が多忙だったことが大きいですね。本日も家で原稿を読んでいましたし……。 話がずれますが、会社の人員整理などで、人が少なくなってしまい、かといって会社全体の売り上げを下げるという…
『週刊文春』などの連載をまとめたマンガエッセイ。面白いけど、一つ一つが見開きで物足りないので、もうちょっと力を入れたものが読めたらよいなあ。でも、マンガなんて重苦しくなく、このくらいで語られる方がよいのか。 それにしても、いしかわ氏は、未だ…
この著者の好評を得ている「法人類学者デイヴィッド・ハンター・シリーズ」は知りませんでした。本書は、そんな著者のノンシリーズで、サスペンスミステリ。 冒頭からイギリス人の若者のショーンがフランスで何者からか逃亡するところから始まります。森に逃…
前作までの私のカーリイ作品の評価、解説の千街氏の本作の評価の少なさ、各書評からいって、本作はあまり面白くないのかもと今回はスルーするかと判断していたのですが、たまたま書店で見かけてしまって、他にあまり食指が動く作品もなかったので、手に取っ…
江戸川乱歩賞受賞作。えらく評判がよかったようなので手に取りました。江戸川乱歩賞は執筆文字量の上限が少なく決められているにもかかわらず、キレイなどんでん返しを強要されるためか、受賞には作者に「技」をもつことが必要とされます。本書もそのとおり…