佐藤史生さんの訃報記事を仕事中に見て、思わず動揺してしまいました。考えてみれば、そのような年齢ではあるのですが、現在は休んでいるだけで、この才能あふれるマンガ家は、数年に一冊ぐらいは読むことができる現役のマンガ家だと思いこんでいたからです。
私は佐藤さんの作品はほとんどすべて読んでいます。『ワン・ゼロ』のインターネットを先取りしたリアリティある未来都市とリグヴェーダから始まる神話が交叉するストーリーに魅了され、少しさかのぼって『夢みる惑星』の少年誌には存在しない理知的で冷めた男性主人公、パズルの断片をひとつずつ語って、それが揃ったとき全体像が見える凝った構成に酔いしれたものです。
先ほど作品リストもみましたが、短編集も単行本になったものは、すべて手に入れておりました。SFばかりでなく、たしか純文学に近いコメディもあり、その切り口が独特のものがありました。
また、佐藤さんの作品の魅力は、先述した構成とキャラクターが語る、状況をまったく説明しない台詞にありました。確か『夢みる惑星』だったと思いますが、主人公の部下が主人公に対して、「酷薄な物言いをするのだ」というようなモノローグがありました。この「酷薄な物言い」という用語がとても美しく感じた私は、よく使用するようになったものです。
本当に残念です。ご冥福をお祈り致します。
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20100406-OYT1T00706.htm?from=main7
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