前作『勝つために戦え!〈監督篇〉』が好評だったための続編。押井氏の監督論を述べたもの。海外オタク編がリドリー・スコット、キューブリック、コッポラ、ルーカス、スピルバーグ、ロジャー・コーマン、ティム・バートン、タランティーノなど。海外巨匠編が、カザン、アルドリッチ、イーストウッド、ペーキンパーなど。国内編が、滝田洋二郎、坂本順治、周防正行、森田芳光、相米慎に、岡本喜八など。ちなみにこれがすべてではありません。
「勝つ」ということにこだわりがあって、非常に面白かった。以下のところはすこし違うけど少し引用。
――でも、ほかの人はなぜアルドリッチみたいな勝ち方ができなかったんですか?
押井 アルドリッチほど才能なかったから。
――わかりやすいなあ(笑)。
押井 結構難しいんだよ? 僕は実践しているからわかるけどさ、例えばアルドリッチとか僕がやっているような方法論で映画を作ってごらん? 裏表二重構造の映画なんて作れる人間はめったにいないよ。(中略)ドラマの裏に違う意図を潜ませるんだよ。それはセリフとかキャスティングとかストーリーとかだけじゃない。表象として伝わる。それが鳥だったり魚だったりでもいいんだよ。情景でも風景でもいい。作品の表現の構造そのものでもいい。(中着)アニメーションはそれにもっとも適してる方法論。なぜなら全部計算づくで作るから。偶然の要素を排除できるからね。たぶんアニメの演出家じゃなかったら、僕もそういう方法論に到達しなかったよ。(中略)
- 作者: 押井守
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