小説を読んでいてもどういうわけか集中できず、中途でやめること3冊を経て、ノンフィクション、新書で紛らわせて、長らく小説を読むことができなかったのですが、ようやく読むことができた一冊目です。この一冊目を選択するのが難しかった。初読の作家、上下巻の作家などを避けるとあまりないのです。
本書は、リーバス警部シリーズ第2作。このシリーズはイギリスの他の警察小説ほど、キャラクターにもストーリーにも強烈な個性を感じないのですが、その個性のなさが、今の精神的症状には合っていたようです。
団地の一室で、全身に打撲を受けて、仰向けに倒れ足を閉じ手を横に広げた不自然な体勢で、麻薬の過剰摂取で死んだ若者がいると警察は通報を受けた。その死体現場の壁には、五芒星らしき魔術か占星術で使用するような落書きが描かれていた。そのあとで、トレーシーと名乗る若い女性が、ロニーという若い男が自殺ではなく殺されたと電話で通報した。
その団地の一室は、若者がたむろしていて出入りが激しかった。また遺体現場の違和感から事故ではなく殺人ではないかとリーバス警部は疑った。検死で若者が注射されたのは麻薬ではなく殺虫剤だったことがわかった。誰が注射を打ったのか? なぜロニーが生け贄になったのか? 当日、ロニーとトレーシーといっしょにいたチャーリーという若者を捜した。チャーリーは自分が落書きを書いたこと、ロニーが麻薬を買う金のために男娼をしていたことを話す……。
最初は、章のラストが曖昧なところで終わるなど、シーンのつなぎがスムーズでないために、わかりにくいストーリーでしたが、エンディングは少し驚きのあるものでした。少し考えてみると日本のミステリには定番であり意外でもないのですが、海外ミステリにはあまり見られなかったのです。まあハードボイルドをちょっと加味した警察小説が好きな人にはよいかなということで、☆☆☆★というところです。
- 作者: イアンランキン,Ian Rankin,延原泰子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/04
- メディア: 文庫
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