ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『漫画家本SPECIAL スピリッツ本』川崎ぶら (監修), 輔老 心 (著),少年サンデーコミックススペシャル ,2020ーー雑誌の始まりと終わり

 私は昔はスピリッツ子だったので,購入しました。勢いのあった創刊から週刊化までのことが多く書かれているのが嬉しい。昔「スピリッツ」が個人的なナンバー1の雑誌だったときがあったので,田舎で売れている「ヤンマガ」のほうが売れていると知ったときはショックでした。

 本書は個人的に,「スピリッツ」といえば,『ブラック&ホワイト』をはじめ,巻末にギャグの2色の四コママンガを連載していたのがよかったのですが,その連載人である吉田戦車相原コージほりのぶゆき中川いさみ氏らの座談会が,昔の「スピリッツ」の内幕が少し触れていて,ものすごくよかった。私もこの世代だったから共感できた。――僕も「スピリッツ」が週刊化したときは「『めぞん』がつまらなくなって『スピリッツ』終わるな」と思いました。

 鴻上尚史氏の「おたっしゃシネマ」は懐かしいし(確か『パリ・テキサス』を知ったのがこのコラム),柴門ふみ氏の「スピリッツ」に移ってからの作風の変化の原因を始めて知ったし(それ以前の作風があまりにも個性的で『女ともだち』など好きだったからなあ,そうか『俊平』『女ともだち』は心理劇だったか),細野不二彦氏,浦沢直樹氏のインタビューも『あどりぶ』『YAWARA‼』の誕生のいきさつが興味深い。

 糸井重里氏の『めぞん一刻』論(のようなタイトル)は何回か続いて楽しみにしていたのに中途で終えてしまいました(ような気がする。完結していたのかな?)

 でも,急いで作成したようで,丁寧な編集がなされておらず,校正の手を経ていないように感じるのが残念です。ーー雑誌名に『』「」などの鍵かっこがついていない文章があるのが,とても気になりました。「雑誌名」『作品名』で統一すればいいのになあ。