最近ベストセラーになっている歴史に関する新書。僕はあまり歴史ものを読まないけど,荘園というテーマは学校の歴史で学んだものの,実際はどういうものだったかわからず,荘園が武士を生んだという流れはどういうものだったか,興味をもって読んだ。本書は,歴史の中で荘園がどのように生まれ,どのような役割を果たして,どのように変化していったかがわかる。とくに歴史が流れるにつれて,全国に広がっていくさまが実感できるような作りになっている。
しかし,僕としては,一つの荘園の中でどのような社会があって,どのような人々が住んでいて,どのような一年を過ごしていたかが知りたかったので,そこがあまり書かれていないのは残念であった。たとえば,荘園内で犯罪があって,どのように解決していたのだろうか,なんてね。本書はそれを目的とはしていないから,致し方ないけどね。