ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『コミカライズ魂―『仮面ライダー』に始まる児童マンガ史』すがやみつる,河出新書056,2022

 すがやみつる氏のコミカライズに絞った自分史といった感じで,『仮面ライダー青春譜』と同様に1970年~1980年台のマンガ事情の一部がわかったうえで,非常に面白い。

 私にとって,すがや氏といえば,ずーっと追ってきた漫画家ではなく,まず『ゲームセンターあらし』で「面白いけど意味が分からない変なマンガだな」と思ったり,児童誌や少年誌マンガ家なのに『こんにちはマイコン』がベストセラーになったり,同時期に学年誌に連載をしていたり,しばらくして,ネットで『仮面ライダー青春譜』を無料で連載し,同時期に早稲田大学に通っていたりしていたマンガ家という位置づけでした。それまで架空戦記の小説を書いていたことはまったく知りませんでした。

 この学年誌の連載のことが本書で少しわかりました。ネットでも検索で引っかからないので,まったくの記憶のみでなのですが,探偵少年を主人公にしたミステリで,たしか「ヒント」というようなタイトルで,このトリックが江戸川乱歩の少年探偵団のような,子供だましだけど(小学生か中学生だったけどそう思っていた),大がかりなトリックミステリで結構面白く,『あらし』があるのに,なんでこんな学年誌で描いているんだろうと不思議でした。それが本書で解き明かされます。 

 そうそう,何ページかわからなかったのですが,『怪人二十面相』のコミカライズを藤子・F・不二雄先生と書かれていますが,藤子不二雄A先生だと思うのですが,いまWikipediaをみたら,「『かいじん二十めんそう』藤子・F・不二雄による絵物語版。」と書かれていますねえ。