ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『まんが原作・原論:理論と実践』大塚英志、星海社新書、2023

 大塚氏のクリエイターブックスについてはネタがもうないのかなと思っていたが、まんが原作の方法という大きいテーマがあったわけです。とはいっても、普通の漫画原作作成方法ではなく、書名に「原論」とついているように、まんが原作の定義から解説されています。

 すがやみつる氏がサラリーマンとして働いていたため、仕事には企画書が必要であり、その知識をもっていたから仕事をとることができた、というようなことをどこかで書かれていましたが、それに似ていて、本書の最終目的は、「『企画書』で、まんがを創る。」というように、シナリオではなくて、企画書を作成することがゴールとなっています。

 まんが原作とは、仕上がりイメージを作画する人、編集者、出版社など、多様な関係者が仕上がり品(作品)に対し同じイメージをもつためのものであり、検討するものとしています。多数の関係者がいるアニメの企画書と同じですね。

 というわけで、本書は原論に終始しており、その先のクリエイトする方法論までは言っていませんでした。そこから始まるところは非常に大塚氏らしい新書です。

 しかし読むのに非常に疲れました。大塚氏のマンガが例として挙がっているのですが、それをほとんど読んでいないためでしょうかねえ。

 例として挙げられている中上健次の『南回帰線』ですが、最初の方を僕は連載で読んでいましたが詰まらなかったですよ。話がわからなかったし。