ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件』白井智之、新潮社、2022ーー伊坂幸太郎系あるいは舞城王太郎系

 本作も昨年のミステリランキングで評判がよかった一作。作者の白井氏はまったく知らなかったが、ウィキペディアによると1990年生まれだから若干33歳でめちゃくちゃ若い。経歴をたどるとかなり過去作もかなりの評価を受けています。

 タイトルから新本格系かと思っていたら、むしろ伊坂幸太郎系あるいは舞城王太郎系のキャラクターとストーリーで読ませアメリカの新興宗教の村が舞台で、閉ざされた墓所として雰囲気としては、有栖川有栖の『女王国の城』の感じがあるが、全く異なる作品で驚いた。

 トリックも4つの連続殺人が場所も殺人方法もそれぞれバラバラで、どんでん返しをかまします。とはいうものの、あまりキャラクターに興味が持てず、中途は退屈で、☆☆☆★といったところです。