ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『「ずる賢さ」という技術:日本人に足りないメンタリティ』守田英正、幻冬舎、2022

 著者はボランチサッカー日本代表選手。流通経済大-川崎F-サンタクララ(ポルトガル)を経て、現在スポルティングに属する。ワールドカップ後のユーチューブでの戦略を具体的に語っていたインタビューが印象的で興味をもつ。

 「ずる賢さ」=マリーシアというものがどのようなものか、技術として具体的に解説しています。

  • ピッチ上では「役者」になれ
  • 努力してないフリで差をつける
  • チームメイトはあえて褒めて油断させる
  • 「見えていないフリ」をして逆を突く
  • わざと「ダメ選手」のフリをする
  • ルーパスは目線と体の向きで「騙す」

 というようなもので、ずる賢さとは異なるような気がします。いわゆるサッカーにはフィジカルや技術、戦術を理解する頭の良さなどが評価されますが、それだけでなく「心理戦」「駆け引き」が重要なのだ、と主張している感じがします。その心理戦は、試合相手だけでなく、味方も練習時も日常生活においても、必要なのだということです。この心理戦という言葉は必ずしも一致していないのですが、「ずる賢さ」というとどうしてもネガティブな印象をもつので、勝つための戦略や技術といいかえたがほうが、いいのでしょうね。

 書籍としては、もう少しサッカーに詳しい人が内容を引き出してほしかったですね。ビジネス書ならこれでいいんでしょうけど。