作者のトム・ミードはこれが処女作。短編はいくつか発表しているらしい。本書はピーター・ラヴゼイの後押しを受けて出されたようです。ガチガチの謎解きミステリファンらしく、本書は両親とともにカーにささげられています。
舞台は1936年のロンドンで心理学者が密室で殺された。それを探偵役として奇術師が依頼されるというもので、いかにも謎解きミステリファンらしい設定。私としては現代を舞台にしてほしかったけど、まあ致し方ない。
謎解きは黄金時代の謎解きミステリのバリエーションで見事なもので、カーと同時代に出版されたといっても通用するかな。しかし、文章やユーモアがカーより数段落ちていてーーもう一回推敲すべきだったんじゃないだろうかーー読み進むのに力が必要になりました。というわけで、評価は甘々で☆☆☆☆といったところです。