ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2008-01-01から1年間の記事一覧

<アジアCL:(4)G大阪3−1浦和(2)>◇準決勝第2戦◇22日◇埼玉※カッコ内は2戦合計得点

何と、今シーズン初めての生観戦。テレビでレッズ戦を見ても、今シーズンは全く面白くないんですよねえ。でも、やはりACL、しかもガンバ戦ですから、はるばる埼スタに行ってきますた。2失点はセットプレイからで、完全にディフェンスを崩されたとはいえませ…

『ドラッカー名著集8 ポスト資本主義社会 (ドラッカー名著集 8)』P・F・ドラッカー、上田惇生訳、ダイヤモンド社、2007(○)

経営思想家ドラッカーの資本主義社会後の世界について語った書。この資本主義社会でいわゆる勝ち組になるには、専門性ともいえる知識が必要ではないかなと常々思っておりまして、でもそれが富の集中と結びついている、いわゆる行き過ぎた知識社会も間違って…

『笑わない数学者』森博嗣、講談社、1996(○)

森博嗣氏の第3作目の作品。S&Mシリーズ3作目。私が読むのは2作目ですが、クラッシックな謎解きミステリの感が強いですなあ。新しいという感じがしません。だから最低限の面白さは保証されていますね。本作のトリックそのものは、まあミステリをよく読んで…

本を捨てる

部屋のあまりの汚さと散らかりように少々あきれていたので、掃除と片づけをした。本が本棚からあふれて、畳に積んでいる山がいくつもあって、少し揺れたりさわったりしただけで、その山のうちのいくつかは、すぐに倒れてしまうのである。 そのために2冊ぐら…

『海街diary 2 真昼の月』吉田秋生、小学館、2008

池袋のジュンク堂で購入。このシリーズの原画展やってましたね。カラーページのものがあって、雑誌連載を読んでいない私にはよかったです。 1巻と同様、4つの短編が収録されており、相変わらずうまいなあと感心したり。中学生の恋愛話のところなど、昔の氷…

『興奮』ディック・フランシス,菊池光訳、早川書房、1965→1976(○+)

ディック・フランシス全41作中第3作目の作品。いわゆる名作。読むのは、おそらく3回目ぐらい。一度目は高校の時で、文字通り寝食を忘れてむさぼり読んだものです。同時のベスト10セレクトなどで、どうして本作が入らないのか訝ったものですね。今回再読し…

『ゼロ年代の想像力』宇野常寛、早川書房、2008(○+)

新世代の著者が書く話題の社会批評集。小説、映画、マンガ、テレビドラマ、アニメなどをはじめとする膨大なサブカルチャー群を紹介した上で、永遠の課題である「どこから来て、今どこにいて、どこへ行くのか」を語った大著。本書の今を語る「サヴァイブ感」…

『嘲笑うゴリラ』E・S・ガードナー、峯岸久訳、早川書房、1952→1976(○+)

弁護士ペリー・メイスン・シリーズ全82作中40作目の作品。だから中期ですね。先日読んだクーンツの『ベストセラー小説の書き方』では、お勧めの作家として、ガードナーを選んでいませんでしたね。謎解きミステリだったからでしょうか。 私は、以前からの、ま…

『共同研究 団塊の世代とは何か』佐伯啓思、佐藤俊樹、平野啓一郎、刈部直、若宮啓文、飯尾潤、張富士夫、松原隆一郎、嶋中雄二、関川夏央、山田昌弘、浅間里江子、細川興一、森信茂樹、御厨貴、講談社、2008(○)

このようなワンテーマにまつわる編著の書籍・雑誌って、割合好きだったりします。さまざまな視点で語られるため、そのテーマの全体像について、コンパクトにまとめられており、また興味があるところのどこから読んでも良いものだからです。例えば、昔の宝島…

『アラビアの夜の種族?・?・?』古川日出男、角川書店、2006(○)

2002年発表の作品で、第55回日本推理作家協会賞・第23回日本SF大賞受賞作。推理作家協会賞を受賞したからといって推理小説というよりは、半村良の系譜を継ぐ、伝奇小説であり、そういう流れで受賞したのでしょう。アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)作者: …

『「狂い」の構造』春日武彦/平山夢明、扶桑社、2007(○+)

精神科医と幻想ホラー作家の「狂気」をテーマにした対談集。学究的なものじゃないので、気軽に読むことができます。てっきり、平山氏のカウンセリング的な要素が大きいのかと思ったら、そうではありませんでした。「狂い」の構造 (扶桑社新書)作者: 春日武彦…

ジェイムズ・クラムリー死去

ジェイムズ・クラムリー氏=米国の推理小説作家 ジェイムズ・クラムリー氏(米国の推理小説作家)米ワシントン・ポスト紙(19日付)によると、16日死去。68歳。米テキサス州生まれ。1978年に発表した、酔いどれ探偵の姿を詩情豊かに描いたハードボ…

『ブルー・ムービー』ジョゼフ・ハンセン、大久保寛訳、早川書房、1979、1986(○+)

保険調査員ブラッドステッター・シリーズ全12作中第5作目の作品。このシリーズの最大の特徴は、探偵役であるビラッドステッターがホモセクシャルであるということであるが、本シリーズを読むたびに、その設定はいったい何の意味があるのだろうと思わずにい…

『怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道』高野秀行、集英社、2007(○)

ネット上で一部のUMAファンに盛り上がってるインドの漁村で捕獲された、鮫にもワニにも似たトゲトゲの怪魚、通所ウモッカ。それを探しにインドに向かうお笑いノンフィクション。読み物として面白いです。怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道 (集英社文庫)作者: …

『ロートレック荘事件』筒井康隆、新潮社、1990→1995(○)

筒井康隆氏の数少ないミステリ小説のひとつ。なんて言ったらよいのでしょうか、今でいうプリーストのような小説です。って、本来は逆ですが。最後まで読んだ後、もう一度、最初から、トリックを確かめてしまいました。ストーリーを紹介したいのですが、設定…

『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療』海堂 尊、講談社、2007(○)

『チーム・バチスタの栄光』の著者が書く新たな死亡診断システムを提唱しています。発売当時、さまざまな新聞・雑誌などでインタビューを受けていましたね。それだけ、社会問題として取り上げやすいテーマでありますし、現在の診断システムの惨さが際だって…

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール、北野寿美枝訳、早川書房、2000→2005(○)

ランスデールを読んだこともないし、『ボトムズ』というタイトルから、何となくサイコ・スリラーかなと敬遠していたのですが、たまたま書店で手にとってカバーのあらすじを読むと、キングの 『スタンド・バイ・ミー』やマキャモンの『少年時代』のような感じ…

『ビッグコミックスピリッツ 2008年9/26号』新装刊

ビッグコミックスピリッツ 2008年 9/26号 [雑誌]出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/09/06メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (4件) を見る 『ヤングサンデー』の休刊に伴って、主力マンガを移籍させてのリニューアル装刊で、本…

『死者たちの礼拝』コリン・デクスター、大庭忠男訳、早川書房、1979→1980→1992(○+)

コリン・デクスターの全14作中第4作目。モース主任警部もの。CWAシルヴァー・ダガー賞作。1979年に原著が発行されて、その翌年には翻訳されているということは、非常に人気があったんですね。このシリーズは、モースのアクロバットな推理を読むというよ…

『絞殺魔に会いたい』パーネル・ホール、田中一江訳、早川書房、1989→1992(○+)

スタンリー・ヘイスティングズ・シリーズの第4作目。私が読んだのは1995年11月発行の第4刷だから、結構売れたのかな? 相変わらずの軽ハードボイルド小説です。絞殺魔に会いたい (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: パーネルホール,Parnell Hall,田中一江出版…

『隠蔽捜査』今野敏、新潮社、2005→2008(○+)

本書は、2006年の第27回吉川英治文学新人賞受賞作。エンタテインメント職人作家・今野敏氏のファンを超えて受け入れられた出世作なのでしょう。私にとっては初めての今野敏氏であります。警察小説の傑作ということで手にとってみました。隠蔽捜査 (新潮文庫)…

『のだめカンタービレ21巻』『鋼の錬金術師20巻』『未来歳時記・バイオの黙示録』『サラリーマン田中K一がゆく!』

■『のだめカンタービレ #21』二ノ宮知子、講談社、2008 静かなる動きがあり。雑誌連載で読んでいる時はそれぞれ面白いのですが、単行本になるとまたひと味違います。のだめカンタービレ(21) (KC KISS)作者: 二ノ宮知子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/0…

『調べる技術・書く技術』野村進、講談社、2008(◎)

短いものから長いものまで、身近なものから身近でないものまで、調べて文章にする、つまりノンフィクションの書き方を極めて分かりやすく説明したマニュアルで、このようなことを体系的に教えてもらってもいない、学んでもいない、観察して自己流にしていた…

『黒い天使』コーネル・ウールリッチ、黒沼健訳、早川書房、1943→1957(○)

ウールリッチの長篇18作のうちの第5作目の比較的初期の作品。また、いわゆる「黒(ブラック)」のシリーズの第3作目。私が読んだのはポケミスですが、なんと2005年に文庫化されています。黒い天使 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 373)作者: コーネル・ウー…

『ベストセラー小説の書き方』ディーン・R・クーンツ、大出健訳、朝日新聞社、1981→1996(○)

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)作者: ディーン・R.クーンツ,Dean R. Koontz,大出健出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1996/07メディア: 文庫購入: 70人 クリック: 386回この商品を含むブログ (94件) を見る 1980年代におけるエンターテイメント小説…

『りら荘事件』鮎川哲也、講談社、1958→1992(○+)

戦後からデビューし活躍した謎解きミステリ作家・鮎川哲也の第2あるいは3長篇。鮎川氏の代表作であり、謎解きミステリの年代をこえて読まれるべき傑作でしょう。 というのも、オリジナルのトリックが用いられているからです。このトリックは結構流用されて…

「もののけ姫」と「エヴァンゲリオン」

「ポニョ」の評論や感想が非常に多く、結構読んでいます。2ちゃんねる以外は。面白かった派も面白くなかった派もそれぞれ妥当ですよね。だって、どちらも宮崎駿氏の新作映画に対して、何を求めているか、その違いによって異なっているに過ぎないから。私は…

作品の評価は難しい

短編ミステリを読みたいと思い、昔、光文社から発行されていた海外ミステリ専門誌『EQ』(「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」と呼ぶのか?)の1997年11月号を書棚の奥の奥のほうから引っ張り出してきた。通巻120号で創刊20周年記念特大号として特…

『ミステリマガジン 2008年 05月号』/文庫の売上と定価

ミステリマガジン 2008年 05月号 [雑誌]出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/03/25メディア: 雑誌 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る 関口苑生氏のエッセイが興味深かった。出版不況でことに海外ミステリの売れ行きの落ち込みが激しいこと…

『幽霊』エド・マクベイン、井上一夫訳、早川書房、1980→1990(○)

幽霊 (ハヤカワ・ミステリ文庫―87分署シリーズ)作者: エドマクベイン,井上一夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1990/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る 87分署シリーズ全53作中第32作目。いつものリアリスティックなストーリー展開に加え…