作者は若き現役司法修習生であり,デビュー作にして『ハヤカワミステリマガジン ミステリが読みたい! 2021年度版』『このミステリーがすごい!2021年度版』ともに3位の作品。たしか出版時にメフィスト賞受賞作であり,講談社,書評家などが大型新人として絶賛した宣伝をしていました。四六判,344頁というのもいいですね。個人的には,大きさ,書体などが読みやすい講談社ノベルズで出版してほしかったですが。
ロースクールが舞台で,前半が身の回りに起こった事件を無辜ゲームと呼ぶ学内の私的裁判を描き,後半はその無辜ゲームの関係者の中で殺人事件が起こり,その裁判を語られます。
裁判ものというよりは,必ずしも法廷で証言や証拠などが出されて,事実がどんどん変わるというよりも,伏線では語られない証拠で事件が語られるので,サスペンスやスリラーといってもよいと思います。というわけで,☆☆☆というところです。