『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞,第165回直木賞を受賞した作家の8本の短編を収めた短編集。才能ある作家には一冊傑作短編集があるけれど,本書はめったにない,その一冊。8本すべてがバラエティに富んでいて愉しめる。☆☆☆☆☆というところです。ちょっとレベルが違う。これ以上の短編集は難しいだろう。
『テスカトリポカ』でも思ったが,専門的な知識が非常に具体的で,これは取材の成果なのか,それとも作家の想像力のたまものなのか,感心する。「ジェリーウォーカー」は2050年ごろの映画界の話なのだから,すべて創造だろうが,あまりの具体性に驚いてしまう。