書評で評価されて気になって、手に取って、翻訳者の解説を読んで、手に取りました。訳者は未訳のミステリを捜して読んで紹介しているようだけど、1957年生まれということはそこそこの年齢だから半分道楽なのか、それとも仕事をとる戦略なのか、わからないけれど、そこに惹かれました。謎解きミステリならマニアが一定数いて全員が購入するから、その数字分だけは売れるだろうという出版社の計算なのだろうと思いますが、それならハードカバーにして高い定価にするという戦略もあるかと思いますが。
ストーリーはというと、90年前のフランス謎解きミステリということで、古典的な設定で、案外面白い。金持ちが建てた大きな館は持ち主、続いて館を購入した人など死んでしまった。飲食産業で成功した富豪がその館を購入すると、一か月以内に館から出ていくよう匿名の手紙で脅迫を受ける。富豪はそれを信じることなく住み続けるのだが、所有者は館の中で銃で撃ち殺されてしまう。その夜に誰も出て行った形跡はない。いったい犯人は誰なのか?
トリックそのものは当時の常識からいうと、とてもかけ離れたものですが、現在の状況からでは、けっこう容易に犯人を指摘できます。まあ僕は犯人がわからなかったけど。先日のアガサ・クリスティも犯人の動機は当時の事情に多くを寄っていました。
というわけで☆☆☆★というところです。非常に読みやすいのもよかった。