ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2010-01-01から1年間の記事一覧

南アフリカW杯2010・日本予選突破

■<W杯:日本1−0カメルーン>◇1次リーグE組◇14日◇フリーステート 守って守って守り勝つというアイルランドのチームのようなゲーム運びで勝利をおさめることができるなんて素晴らしいですね。前半本田のゴールで1点を奪ったときは、ドイツW杯のオース…

『神のみぞ知るセカイ 9巻』『おおきく振りかぶって 15巻』

■『神のみぞ知るセカイ 9巻』若木民喜,小学館,2010/06 この作品には主人公の桂馬以外の男性キャラがいないんですよねえ。おそらく作者はこの設定を意図的にしているんでしょう。その理由も考えてあって。なんて、今週の『サンデー』の連載で思いました。作…

『アオイホノオ 4巻』島本和彦,小学館,2010/06

なぜかオタク臭が少ないオタク物語第4巻。めちゃめちゃ面白いです。とくに『炎の転校生』に至るまでの思考過程がきちんと描かれているところ。このような考え方は、誰もがもつものですから、非常に共感を呼ぶでしょうね。学園マンガだからこそ受けていると…

『泥棒は詩を口ずさむ』ローレンス・ブロック, 田口俊樹,早川書房,1979→1994

泥棒バーニイ・シリーズ ・シリーズ全10作中3作目の作品。第1回ネロ・ウルフ賞(1979)とのこと。原著のアマゾンをみましたら、結構評価されておりました。まあ、アマゾンの評価はファンが書くものだから、あまり客観的な評価ではないけれど……。 表向きは…

『もの言えぬ証人』アガサ・クリスティー, 加島祥造訳,早川書房,1937→2003

アガサ・クリスティ21作目の長篇作品。同年発表に『ナイルに死す』。クリスティは、20年ぶりぐらい。私は海外ミステリに、クリスティの『死者のあやまち』からのめり込み始め、それから20作ぐらい読んだものです。 それに並行してクイーンの国名シリーズ、カ…

『虐殺器官』伊藤計劃,早川書房,2007→2010

「ゼロ年代の最高のフィクション」というふれ込みの傑作SF小説。単行本発行時にきちんと読んでおけばよかったと思わせる作品。私は、SFというよりも、むしろ新しい世代が書く近未来冒険小説あるいはエスピオナージととらえました。そういう意味でミステリ小…

紐と十字架』イアン・ランキン, 延原泰子訳,早川書房,1987→2005

リーバス警部シリーズの第1作目の作品。ランキンは注目していたものの、初期に翻訳されたものはページ数が非常に多く、また評価が微妙によろしくないことから手にとりませんでした。しかし、私自身がイギリスミステリに相性がよくなってきているのではと感…

『モテキ 4巻』久保ミツロウ,講談社,2010/05

あー、このマンガ読んでいると、本当に恋愛って面倒くさかった、終わって良かったとホッとしますよ。この人は自分のこと好いているのだろうか、恋愛の相手としてみてくれているのだろうか、どうやって誘おうか、なんてことを不安に感じながら一つひとつ考え…

『敗北への凱旋―連城三紀彦傑作推理コレクション』連城三紀彦,角川春樹事務所,1999

本書は、連城氏長篇第2作目の作品なんですか? 傑作推理コレクションの6作目ですし、すでに直木賞受賞後していたときの作品ですので、初期という感じがしませんでしたが、調べてみて少しオドロキ。 一言でいってしまえば、トンデモミステリ。連城氏がこん…

『靴に棲む老婆』エラリー・クイーン, 井上勇訳,東京創元社,1943→1997

クイーン16作目の作品。前年に『災厄の町』を発表しており、クイーン中期の作品といえます。 「靴に棲む老婆」とは、靴製造会社で巨万の富を稼いだ会社社長の老婆のことで、その老婆社長には、前夫の間に二人の息子と一人娘、二番目の夫との間に三人息子、計…

『2011年新聞・テレビ消滅』佐々木俊尚,文藝春秋,2009

先日のUstreamの孫正義×佐々木俊尚の対談や石川さんのマンガペン入れの生放送が、視聴者数が数千から一万台になり、それで成立してしまっている状況が、出版で言えば、ああまるで書籍の単行本か、専門雑誌のような位置付けだなあ、なんて思うんです。まだま…

『GIANT KILLING 15巻』『capeta 22巻』

■『GIANT KILLING 15巻』ツジトモ, 綱本将也原案・取材協力,講談社,2010/05 達海の現役時代の続き。ETUの中心選手である達海は日本代表選手としても注目されていく。そのような達海を売り出したいETUのオーナーは試合にゴールを義務づけたり、CMに出演させ…

『放浪のリトル・ドッグ』ジョゼフ・ハンセン, 小林宏明訳,早川書房,1986→1988

デイヴ・ブランドステッター・シリーズ第8作目の作品。多分、過去7作は読んでいると思うけど、きちんと記録を取っていないので……。このようなとき、ブログをやってて良かったなと感じる。検索すると2008年に『ブルー・ムービー』が引っかかるけど、それを…

『ソクラテスの弁明・クリトン』プラトン, 三嶋輝夫, 田中享英訳,講談社,1998

大学時代以来です。とても面白かった記憶がありましたが、今回は、面白さを感じたポイントがずれているような感じがしました。昔は、ソクラテスの論理展開が面白く頷きながらだったのですが、今回は「それは詭弁じゃね」なんてね……。何故、そのような道を選…

『粘膜人間』飴村行,角川グループパブリッシング,2008

第15回日本ホラー小説大賞長篇賞受賞作。僕はあまり日本のホラー小説は読まないけど――といっても、『パラサイトイブ』『黒い家』などベーシックなのは読んでるけどね――書評で気になった作品。 戦前戦中ぐらいのこと、二人の兄弟が一人の巨体で暴力的な義弟を…

『世界名探偵倶楽部』パブロ・デサンティス, 宮崎真紀訳,早川書房,2007→2009

カバー紹介によると、著者はアレゼンチンのブエノスアイレス生まれで、原著はスペイン語なんですかねえ。スペイン語→英語→日本語ではなく、どうもスペイン語からダイレクトに翻訳されているような感じがします。 ブエノスアイレスの探偵レナード・クライグの…

『心の仕組み――人間関係にどう関わるか〈中〉』スティーブン・ピンカー, 椋田直子・山下篤子,NHK出版,1997→2003

ようやく中巻が読み終わりました。外界からの刺激やそれと結びつく脳の機能、そして人間の心の中の現象を対比させることで、例えば、言葉から意識・心が生まれたと仮説するように、心の仕組みはどうなっているのかを導きだそうとしています。本巻では、外界…

『完本 1976年のアントニオ猪木』柳澤健,文藝春秋,2007→2009

まず結論からいいますと、本書は傑作である。私は、プロレスに夢中になったこともないし、アントニオ猪木に深く魅了されたことがない。プロレスなど退屈に覚えるほどである。夢中になったとすれば『プロレススーパースター列伝』の「懐かしのBI砲編」を通し…

『陪審員はつらい』パーネル・ホール, 田中一江訳,早川書房,1990→1994

調査員スタンリー・ヘイスティングス・シリーズ第6作目の作品。陪審義務を課せられたスタンリーが殺人事件に巻き込まれるお話。 個人事業主なので陪審義務の拒否を願い出たものの、20年以上前の脇役での出演によるシュワルツネッガー主演の映画の再放映があ…

『のだめカンタービレ 24巻』『バクマン。 8巻』

■『のだめカンタービレ 24巻』二ノ宮知子,講談社,2010/04 日本のRSオーケストラでオペラを開催する番外編ですが、本編より面白いです。エンタメの仕掛けがうまく機能しています(このあたり、嫌な人はいるだろうなあ)。最近、最初のから読み返したところ…

『仕事するのにオフィスはいらない』佐々木俊尚,光文社新書,2009/07

昨年、本書が発行され、書店でパラパラと立ち読みをしたとき、「ふうん、こういう人もいるんだな。いずれ僕もこのようになっていくのだろうけど、まだまだ先だな」と判断していたのです。しかし最近思うところがあって、本書を読みたいと池袋の書店をジュン…

『ハイブリッドワーカー――会社勤めしながらクリエイティブワークする』ヨシナガ,講談社,2009

「講談社アフタヌーン新書」という新書レーベルのひとつ。この新書はライターに依頼して量産しているけれど、どのくらいの部数が損益分岐点なのでしょうか? 新書で分量が少ないので一般四六書籍よりは、印刷・製本代などの製作費は安くつくのでしょう。 で…

『わが心臓の痛み』マイクル・コナリー, 古沢嘉通訳,扶桑社,1998→2002

マイクル・コナリーの第6あるいは7作目の作品。発表時はノンシリーズでしたが、本作の主人公の元FBI捜査官テリー・マッケイレブはもう一つの作品で主人公をつとめたり、コナリーの他シリーズでも出ているらしい。コナリーのお気に入りのキャラなのでしょう…

『鋼の錬金術師 25巻』『GIANT KILLING 14巻』『おおきく振りかぶって 14巻』

■『鋼の錬金術師 25巻』荒川弘,スクウェア・エニックス,2010/04 相変わらずの迫力、テンションの高さ。解ける謎、深まる謎が並行して流れる物語には、目を離すことができません。アニメも面白いしね。鋼の錬金術師 25 (ガンガンコミックス)作者: 荒川弘出…

『これが「演出」なのだっ――天才アニメ監督のノウハウ』大地丙太郎,講談社,2009/08

アニメ監督大地氏によるアニメ監督、演出論。まあ、「論」というほどではないけれど。最近、アニメを見るようになって、監督・脚本・演出・絵コンテ・作画監督などの役割がどのようになっているのか、それを知りたくて手にとりました。実際、大地監督作品は…

『神のみぞ知るセカイ 8巻』若木民喜,小学館,2010/04

予想されていたこととはいえアニメ化はおめでたいですね。いずれは、桂馬が現実否定のが原因というのでしたら、何故アニメやマンガではなくゲームに夢中になってしまうのか、説明してほしいです。というのは、私にゲーム属性がまったくないからなのですが。…

たまには仕事のことなど

先月末から今月初旬にかけて、半年ぶりに書籍3タイトルを編集・発行しました。私の場合、どの書籍でも発行するまでは、編集作業をしながら「これは売れるかも」「これは売れないかも」と自信と不安がゆらゆら揺れまくりなのですが、そのなかの2タイトルは…

『殴られたブロンド』E・S・ガードナー, 砧一郎訳,早川書房,1944→1988

弁護士ペリイ・メイスン・シリーズ全82作中25冊目の作品。 カバーの紹介欄に「シリーズ中でも群を抜いて劇的な展開を見せる代表的傑作」と書かれているためか売れたようですね。ガードナーの作品は新刊書店には売っていないので、私はブックオフなどの古本屋…

『本のお口よごしですが』出久根達郎,講談社文庫,1994

ご存じ古本屋主人の名エッセイ集。少し軽いエッセイを読みたいと手にとったのですが、うーん、100以上ある単文がそれぞれ軽そうに見えて渋みのあるエピソードで読み飛ばすことができず、時間がかかってしまいました。 そのなかの「予言」というタイトルの寺…

『3月のライオン 4巻』羽海野チカ,白泉社,2010/04

零くんが二階堂が所属する研究会に参加し、そのトップであるA級棋士の島田さんがタイトル戦に挑戦します。零くんと二階堂は胃腸が弱い島田さんをサポートするのですが……。棋士の世界の厳しさをエピソードを重ねて伝わってきます。どきどきエピソードで終わる…